キャンプと団地散策で旅気分

2009/09/25


中南米の旅で出会った人たちとは、帰国して2年経った今でもよく会っている。
とくに近所に住むA夫妻は年齢も近いし、食いしん坊なところや音楽の趣味など共通する点も多いため、結構な頻度で遊んでいる。
キャンプやハイキングなど、お金を使わずとも楽しく遊ぶ術に長けた彼らと「シルバーウィークはどこかでキャンプ、なんていいねぇ」と話していたら、あっという間にキャンプ計画が成立。
さっそく旅の仲間たちに声をかけ、行き先は山梨方面とだけざっくり決めて、あとは当日に現地のキャンプ場を見てぐっときたところにしようということになった。
しばらくぶりに物置から引っ張り出してきたテントやマットはちょっぴりカビくさいけど、気分は上がりっぱなしで、興奮したせいかあまりよく眠れないまま当日の朝を迎えた。


7時前に出発をして、朝ご飯のおにぎりをほおばりながら向かうは山梨の丹波山周辺。
家を出てから3時間ほどでその近辺に到着し、気になるキャンプ場を片っ端から当たって見せてもらう。
結局、始めのほうに見つけた小菅村の平山キャンプ場というところに決定。
しゃべり方はぶっきらぼうだけど世話を焼くのが好きなおじさんの人柄と、川のそばにテント3針が余裕で張れるスペースが確保できるというのが決め手となった。
車で向かった我々以外にも、電車とバスを乗り継いできたSくんやバイクでやってきたHくんとSちゃん、そして山梨に住むタビフーフ一家が合流し、計10名のにぎやかなメンバーが揃う。

なんとなく準備がスタートすると、皆黙々とテントを設営したりそばを流れる小川でお酒を冷やしたり、とにかく手際がよい。
キャンプ慣れしているというより、旅をしているうちに自分のことは自分でやらないとどうにもならない、ということが身に染みてわかったからかもしれない。

バーベキューの準備を始めていると、Sくんがおもむろにバックパックを開けてジップロックに入ったかたまりをいくつも出す。
中身は、極上の味付けに仕込んだ豚バラ肉のかたまりが3つほど。
おなかに入れる前にせめて匂いだけでも、と袋に鼻を近づけると、まるで生ハムのようないい香り。
さらに翌日の朝食用にと特製チリビーンズも大量に持ってきていて、こちらも食欲を刺激する芳香を放っていた。
薄暗くなり始めた頃に、乾杯をして炭火でどんどん食材を焼いていく。
焼いたそばから、どんどん網の上は空っぽになっていく。
この気持ちいいほどの食欲、さすがである。
満腹になったあとは、たき火を囲んで夜更けまでお酒を片手に旅の話に花が咲く。飲みっぷりもいいのだから、旅人、恐るべし。

翌日も同じキャンプ場でお世話になることに。
気分によって「今日も泊まります」なんてお願いするのが、旅先での宿泊パターンみたい。
この日はほとんど太陽が顔を覗かせることなく過ぎていったが、各々昼寝をしたりフリスビーをしたり、汗をかいたら近くの温泉で汗を流したりと、気ままに過ごすことができた。
久々にパソコンにまったく触れることのない日々が続き、解放されたような気楽さがあってよかった。
日常の垢をこのキャンプ場で全部落とせたような満ち足りた気分で、2泊3日のキャンプはあっという間に終了。
連休最終日に渋滞にはまるのは怖いからと早めに山梨を出たものの、A夫妻のルート取りが完璧だったおかげで午後の早い時間に神奈川まで戻ってきた。
あまりに楽しく濃い日々を過ごしたせいで、このまま帰るのがもったいない気分がしてきたため、どこかに寄り道をしようという話に。
携帯であれこれ見ていたら近くにアジア臭がたっぷり漂うエリアがある、という情報を見つけて、進行方向とは逆のほうにあるその目的地に向かうことにした。
辿り着いたのは、平塚にある横内団地。
なぜ団地にアジア? という疑問符が浮かぶ中、ひとまず様子見でゆっくり車で回ってみる。
団地自体はとくにこれといった特徴もなく、まさに「団地」という佇まい。
これではさっぱり正体がつかめないので、車を停めて商店の集まる表通りにある一軒の八百屋に入る。
地方にある八百屋という体のお店に入ると、店番をしているおばさんに「どこから来たの?」と聞かれ、ここぞとばかりに質問タイム。
タイやブラジルの食材屋に行きたいのだけど、どこにあるのか? とか、どうしてここに外国人が多いのか、とか、思いつくままに聞いていく。
どうやらこの団地には、カンボジア、ラオス、中国、ベトナムなどアジア系の人やブラジル人などが多く住んでいるそうだが、この不景気で住民もだいぶ減ったという。そして彼らのためにと、ラオスの人がレストランを始めたあたりから徐々に店が増えていったらしい。しかし住民が減る、イコールお店にとってもお客が減るという痛手となる訳で、閉店した店もかなりあるとのことだった。
それでもかつて横内団地に住んでいた人や噂を聞きつけてやってくる人など、客足は少ないながらも絶えないのだという。
レモングラス(茎の部分)やブラジルでしょっちゅう飲んでいたガラナなど、目当ての品を抱えてレジで精算をしていると奥から話好きのおじさんが出てきて、いろいろ教えてくれる上にどんどん「これ、やる」とおまけを渡してくる。
買ったものといただきものが半々というワンダーランドみたいな八百屋を後にして、ほかのお店も物色してみるとナンプラーが720mlも入って180円だったり旅先でよく目にした懐かしい食材があったりで大興奮。
肉屋では普段はあまりお目にかかれない部位の肉がたくさん、しかもお手頃な価格で売っているから、キャンプでさんざん堪能したはずなのにすぐにでも新たなバーベキュー計画を立てたくなる。
しかも、お店の人も割と話好きの人が多くて一度話すとおしゃべりが止まらない。

今回はランチを終えたあとに訪れてしまった横内団地だが、ここにあるレストランはどこも日本人向けのアレンジをまったくしていない本場の味ということなので、次回の食材仕入れ時にはおなかをたっぷり空かせて来ようと思う。
ああ、餃子の王将でご飯を食べている場合じゃなかった!
連休の半分をたっぷり遊び尽くしたおかげで、体はもちろんくたくた。でも、心が元気いっぱいになった。
いくつになっても遊びは本気で取り組まないと、と心から思ったシルバーウィークは、楽しい思い出ばかりを残して過ぎていった。