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大都会の両極端な姿を垣間見る

2009/04/14


インド随一の大都市、ムンバイでは驚くほどあっという間に財布がすっからかんになっていく。
いちばんの痛手は宿泊費で、これまでの泊まってきたのと同レベルの宿に行こうものなら、金額は2倍以上に跳ね上がる。
懐事情を考えればとにかく早く立ち去ったほうがいいのだろうけど、なかなかそれが難しい。
なぜなら、ムンバイには都会ならではの心ときめく誘惑が待っているから。
フリーWi-Fi完備でネットし放題、オシャレなインド人が大勢やってくる雰囲気よし、味よし、サービスよしのバー&レストランに、本でもゆっくり読みながら長居したくなるカフェ、ステキなブティックやスーパーと、ツーリストがあったらいいなと思うものすべてが宿から徒歩圏内にあり、そのどれもがクオリティが高い。
しかしこの便利さだけがすべてではなく、もっと大きな意味を持つ理由がほかにちゃんとある。
それは、ムンバイでなければ見られない、インドの縮図ともいうべき場所へ足を運ぶことだった。



マハーラクシュミー駅のすぐ脇にある巨大な洗濯場、ドービー・ガート。
恐らく畳1枚ほどはあるかというスペースに区切られたそれぞれの持ち場で、男たちが洗濯物を大きく振り上げて水の中にばしゃん、と思いっきり叩きつけている。


若い男性が一本背負いするかのような勢いでひときわ大きな水しぶきをあげている一方で、中年男性は控えめな動きでぱちゃんぱちゃんと洗っている。
その近くでは石けんをつけてごしごしこすっている人がいるから、ちゃんと役割が決まっているのだろう。
そう言えば干されている洗濯物も、テーブルクロスにサリーにジーンズなどのパンツ類と、大まかなグループ毎に並べられている。
ここで洗濯をしている人々は生まれたときからすでにその職が決まっていて、転職することなくずっとこうやって仕事を続けていく。
いくら彼らの日々の楽しみだとか辛さを想像しようとしても、やりたい仕事を選び、またその仕事を途中放棄して旅に出ている我々には皆目見当がつかない。

もうひとつ、想像を超えたというか、むしろまったくの勘違いをしていたことに気づいたのが、映画『スラムドッグ$ミリオネア』の舞台となったスラム街、ダラヴィーを訪れたとき。
ムンバイの人口1640万人のうち、55%がスラム街を生活の場とする人々。
そのうちの約100万人がここダラヴィーで暮らし、その規模はアジア最大と言われている。
以前ブログでも紹介した映画の原作となった本『ぼくと1ルピーの神様』を読んだとき、ダラヴィーにはやすやすと足を踏み入れてはいけない、外の世界とはまったく異質のコミュニティが存在する場所なのかと思った。
だから実際にダラヴィーを訪れることのできるツアーがあると知ったときにも、果たして行っていいものかどうか、ちょっぴり悩んだ。
しかし、ツアーの参加費用の80%がここでの教育などに活用されるらしいこと、そしてダラヴィーの、ひいてはスラム街のネガティブなイメージを払拭したいというのがこのツアーの趣旨のひとつということを知って、行くことに決めた。
プライバシーを尊重するために写真撮影は禁止、場所によってはかなり汚いところを通るので靴着用のことといったいくつかの注意事項を確認して、最寄りのマヒム駅で待ち合わせすることになった。
参加者は我々を含めて6名。
ガイドの後をついてぞろぞろと歩いていき、彼がふと立ち止まって説明をし始めた場所が、まさにダラヴィーへの入口だった。
インドのどの街にもありそうな食堂や商店が並び、そこを通る人たちもまったくもってほかの街と変わらない。
危険な香りもしなければ異様な雰囲気すら感じられない、それこそ普通の街だ。
ただし、路地に目をやると狭い道の両脇にトタンやビニールを駆使して体裁を整えている建物がずらりと並んでいるから、それがいわゆるスラム街のイメージと言えば、そう言えなくもない。
その路地のひとつに入っていく。
砂ぼこりかゴミかがたくさん舞っていて少々臭うこの一帯は工場が集まる地域で、ちょうど今来ているのはプラスチックのリサイクルを専門に扱うところ。
ムンバイ中から集めてきた廃プラスチックを色・種類別(洗剤容器やおもちゃ、パソコンの部品など)に分ける人、分別を終えたものをひとくくりにまとめて次の業者へ持っていく人、それを機械で細かく砕く人、その砕いたものを溶かしてペレットに成形する人と、この狭い地域内でこれだけの仕事をこなしている。
1日に10~12時間、決まった休日もなく働いても、リサイクルを待つプラスチックはなくなるどころか作業が追いつかず、工場の屋根の上で待機することになる。
とある工場の屋上に上らせてもらうと、そんな処理待ちの廃プラスチックが山積みにされている屋根がところどころに見える。
ふたたび路地を歩くと、石油のような臭いがつんと鼻をつく。
塗料の大きな空き缶の外装をはがす人たちが、素手で缶をごしごしやっている。
トンカントンカン金物を叩く音がするところでは、先ほどの缶のでこぼこを手作業で直している。
やはりここでも人力リサイクルの真っ最中で、この修繕した缶に新たにプリントし、塗料を詰めて販売するのだそう。
その先には、食用油の缶に貼られたラベルをお湯ではがす工場があり、中に入った途端に蒸し暑さで汗が噴き出す。
この状況で1日の半分を過ごすのか……。
リサイクルが今後ますます欠かせなくなるのは、わかっているつもりだ。
それに、このようなリサイクルの仕事を含めダラヴィーでは年間に6.65億USドルを稼ぐというから、重要な雇用の機会を持つ珍しいスラム街であることもわかる。
しかし空気のよくないこの環境の中で、無防備な姿で黙々と働く彼らを見ていると、何か大事なことを見落としているような気がしてきて、少し考え込んでしまう。
考え込んでいる間も、ツアーは休むことなく続く。
今度は大きな道路を渡って、住居の並ぶ地域にやってきた。
ひとつひとつの家がなかなか小さいのにも驚くが、それ以上にびっくりしたのは道路の狭いこと!
人ひとりやっと通れるかどうかという道には当然のごとく太陽の光がほとんど届かない、まるで迷路のような空間。
頭のすぐ上には何かわからないコードのようなものがぶら下がっているし、足下はでこぼこした石が無造作に置いてあって段差がバラバラだし、前方後方上下左右に気を張っていなければ怖くて歩けない。
そんな道に面して玄関のある家が何軒も続いているのでちらっと覗くと、普通にご飯を食べたりテレビを見たりしてくつろいでいる。
やっとのことで迷路を通り抜けるとようやく車の走る大きめの道路に出たので、思わずほっとため息が漏れてしまった。
それからも学校を見学したり、皮をなめす工房やろくろで水がめをつくる工房にお邪魔して、ツアーは終了した。
最後に、いちばんの予想外でうれしかったのは、子供たちが親しげに声を掛けてきてもそれは単純な興味からであって、決して物乞いをするためではなかった、ということ。
何かねだられるぐらいは仕方のないこと、と構えていたのにそういう場面に出くわさなかったのは、ダラヴィーが金銭的にはほかの街より貧しいかもしれないが、それでもひとつの社会として自立しようという意識があるためかもしれない。
悲しいほどに悲惨なイメージを抱かせるスラム街という呼び名が、いつかこの街の代名詞として使われなくなる日が来ることを、心から願いたい。
このツアーの詳細はREALITY TOURS & TRAVELのサイトにて。


■ お知らせ ■
インドへ出発する直前、ガラス作家でblack coffee主宰のあかしゆりこさんからグループ展のお誘いを頂きました。
場所は茅ヶ崎、まるでどこか外国の街角に来たのではないかと錯覚してしまう雰囲気に満ちたステキなカフェ、LAMA coffeeの2階にLAMA spaceというギャラリーがオープンすることになり、こけら落とし展覧会となる「LAMA GO 展」に写真を1点展示することになりました。
お馴染みのウユニ塩湖の写真ですが、今回は前回までの倍の大きさで出力。
あかしさんを始め他の方々の作品も面白そうなのに、直接展示を見ることができないのが残念……。
ぜひ皆様、ゴールデンウィークはLAMAでおいしいコーヒーと絶品のチーズケーキと、個性豊かな作品をお楽しみくださいませ。
なお、茅ヶ崎にはblack coffeeのショップもあるので、こちらもぜひお立ち寄りください。
あかしさんの手から生まれるころんとかわいらしいガラス作品は、どれにしようか迷うほどカラーバリエーションが豊富です。

LAMA GO 展
4/24(金)~ 5/4(月・祝)
13:00-20:30 水曜日定休
LAMA coffee / LAMA spaceにて

出品作家
black coffee
LOOP LOUPE
nim
okara
woo
クノヤスヒロ
くぼたひろと
黒田真琴
佐藤”kuma-chang”慶吾
白倉えみ
白倉祥充
高根友香
旅音
はにうみつえ
眞壁陸二
村田浩
特別協力 CANVAS&CLOTH
(五十音順、敬称略)

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2009.4.6 ムンバイ / Mumbai