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自転車に乗って、フレンチを食べに

2009/05/17


これまで毎日のように通り過ぎてきたインドの雑然とした世界も刺激的で面白いけれど、ずっとそこに身を置いていると、ときには別の類の刺激も欲しくなるというのはわがままな話だろうか。
そのせいかフランス、という言葉がついただけで妙に反応してしまい、きっとステキなものが待っているに違いない、と期待感を募らせてしまう。
ポンディシェリーで過ごす日々は、脱スパイシーながら新たな感動をもたらしてくれるはず。
だって、ここではおいしいフレンチがお手頃価格で食べられるともっぱらの評判なのだから。


かつてフランス領だったポンディシェリーのバスターミナルに着いたときには、とくにそれらしい気配は感じられなかったのに、徐々に海に近づくにつれてどこかすました表情の街並みに変わってくる。
インド名物の渋滞がうそのようになくなり、クラクションの音はおろか、人の話し声さえ聞こえてこない静かで穏やかな通りに、淡く上品な色に塗られた建物が続く。
その通りをときどき通り過ぎていくのは、自転車に乗った人たち。
道幅が広く平坦な道の脇に咲くきれいな花が目を楽しませ、大きな木々が日よけ代わりになっている絶好のサイクリングロードだ。
こんな気持ちいい街並みをうろうろするだけでも満足度が高いのに、それにプラスして食の楽しみもあるのだからたまらない。

せっかく自転車に乗るのにぴったりのところだから、本格的な散策は明日以降、自転車を借りてからのお楽しみにして、今日は歩いて行ける範囲で、五感をフルに働かせてよさそうなレストランを探してみる。
適度に歩き回っておなかも空いてきた頃に見つけた1軒に入ってメニューを開くと、そこに踊っているのはフランス語で書かれた牛肉とか鶏肉とか、ご馳走を示す名詞の数々。
胃袋が早く早くと急かしているのに、どれもこれもおいしそうでなかなかこれ! という風に絞り込めない。
ようやく心を決めてオーダーし、待つこと15分、目の前に現れたご馳走に思わず笑みがこぼれる。
ナイフがすっと通るほどに柔らかい肉をほおばって噛みしめると、肉汁と濃厚なソースの味が口いっぱいに広がって腰砕けになってしまう。
日本でも滅多に食べる機会のないフレンチを堪能して、すっかり放心。
よし、ポンディシェリーにいるうちはインド料理をいったん封印してフレンチしか口にしないぞ、と半ば本気で決意する。

さて、せっかく食のことについて触れたので、南インドに入ってからのなじみの食事についても少し。
お得感があっておなかいっぱい食べられる定食は、予算の限られているツーリストにとってありがたい存在。
北インドでターリーと呼ばれるそれが、南インドに入ってからはミールスと呼び名が変わり、食事の内容も少し変化する。
バナナの葉のお皿に、野菜をスパイスで煮込んだスープのようなものが数種類と、付け合わせにごはんなどがセットになっていて、基本的には野菜のみを使った料理が並ぶ。
値段も25~60ルピー(約50~120円)と格安な上に、どんどんおかわりを持ってきてくれるので1食でおなかがはちきれんばかりになる。
いろいろなおかずをまぜこぜにして自分好みの味や辛さに調節できるから、最後まで飽きることなく食べられるのもうれしい。

もちろん定番のカレーも見逃せない。
牛を神聖視するヒンズー教徒の多いインド。けれどビーフカレーだって割と普通に食べられる。
北インドではナンやチャパティで食べる機会が多かったけれど、南インドではパロタ(パラタ)と呼ばれるふかふかのものにはまった。
ナンとほぼ同じ材料ながら、作り方が異なるだけでこんなに食感に違いが出るのか、と驚き、カレーや1品料理を食べる際には毎回これをオーダーした。

軽食も種類が豊富で、嘘かと思うほどの大きさで出てくる米粉のクレープ、ドーサや、スパイシーなタレにつけて食べる米粉のイドゥリも南インドではおなじみのもの。
それにプラスして、ミルクと砂糖たっぷりのコーヒーが街角の至るところで味わえるのも、この辺りならでは。
ただ、日本食に慣れた舌にはスパイシーで味にインパクトがあるインド料理はときに重たく、辛くないものが食べたい、と思うこともしばしばである。


次の日は、昨夜のカロリーを楽しく消費するために自転車を借りてサイクリングしながら、見たいポイントへ。
フランスの香り漂う建物のあいだを通り抜け、海沿いの道に出て潮風を浴び、緑がいっぱいの公園を横目に見ながらやってきたのは、シュリ・オーロビンド・アシュラム。
いまから80年ほど前に建てられたこの施設はインド人の哲学家シュリ・オーロビンドと、彼の遺志を継いで平和と調和を目指す環境実験都市オーロヴィルを建設するに至ったフランス人のマザーと呼ばれる女性のお墓がある場所で、現在は教育機関としての役割を果たしている。
オーロヴィルを目指す前に、ポンディシェリーで彼らの理念を継承する人たちが運営するゲストハウスに宿泊し、敬意を表して墓前で手を合わせ、オーロヴィルでつくられたさまざまな製品を見て、少しでもこのコミュニティを知る足がかりにしよう、と思ったのだ。

サンダルを預けて中に入ると手入れの行き届いた庭が広がり、ついきれいだなぁと独り言を漏らした途端に、そばにいたスタッフに静かに、と注意される。
視線をお墓のほうに向けると、熱心に祈りを捧げる人や周りに座って瞑想をする人がたくさんいる。
そういう人たちの邪魔をしないようにと、ここでは私語厳禁、カメラ撮影禁止。
そっと列に加わって手を合わせたら、そそくさと退散する。
次はシュリ・オーロビンド・アシュラムの運営する紙工場やショップを覗いて回る。
どれも丁寧なつくりであることがしっかり伝わるものばかりで、デザインにも工夫を凝らしたものが多い。
きっとオーロヴィルの理念に共感して移住してきた外国人がもたらした、ほどよいエッセンスの成果なのだろう。
ではそろそろランチを、ということで迷わずフレンチを食べさせてくれるレストランに向かい、わくわくしながら待っていたら、インド風にアレンジされたスパイシーな味付けの料理が出てきたのだけが、本日唯一のがっかりであった。
昼間の悔しさは二度と味わいたくないので、別の店にはトライせず、昨夜大当たりだったレストランへ自転車に乗って再訪。
すでにメニューは熟読しているので大体何があるかというのを把握しているはずなのに、やっぱり迷ってしまってなかなか決められない。
万が一残念な味だった場合には、延泊して再チャレンジするのもありかな、新規開拓という手もあるぞ……。
という心配はまったくの杞憂に終わり、この夜も非常においしい料理にありつけた。

それにしても、フレンチレストランに自転車で乗り付けるのって、全然スマートじゃないよなあ。




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2009.5.9 ポンディシェリー / Pondicherry

Join the discussion 4 Comments

  • hana より:

    いやいやいやいや。。
    おいしそう。。
    朝なのに、すでに口がフレンチ気分。
    しかし、ここは品川。
    美味しいフレンチなんてあるわけない。。
    がっかりです。
    カレーも味を色々自分で調節して食べられるの、いいねー。止まらなくなりそう。
    パロタ。作って食べさせて~。

  • かな子 より:

    ■hanaさん
    朝から口がじゅわーっとフレンチ気分、ってのも豪華でいいね。いや、くどい?
    品川はもっと飲み屋が充実してくれるとうれしいね。
    そしたら東京通勤組と待ち合わせて、1杯飲んで帰るのが楽にできそうなのに。
    パロタ、ぜひつくったら実験台となって味見してね。

  • tat より:

    ドーサ超うまそー!
    インド料理の中でも大好物です。
    パロタの作り方は是非伝授してください!
    それにしてもインドでフランス料理とは!
    おいちそー!

  • スミサト より:

    ■tatくん
    ドーサ好きだったよね、オレは前はほとんど食べなかったんだけど、今回はチョコチョコ食べたなー。
    でもちょっと油っこいのが、もう少しどうにかなるとイイなって思った。でも美味しいけどね!
    パロタはね、最高だよ、帰ったら作るから遊びに来てね。
    インドフレンチ、店によってはカレー味だった!(笑)