Skip to main content


ヤシの木が茂るビーチで、目の前に広がる海で気が済むまで泳ぎ、疲れたらキンキンに冷えたビールでのどを潤しひと休み。
ディナーはシーフードで決まりだな。
明日の午後にはそんなビーチライフが待っているんだ、なんてことを夢想しながら超特急でゴアへ運んでくれる電車のチケットを予約しようとしたら、「もう空席はないよ」。
さっきまでの浮かれた気分が、波が引くようにサーッと消える。
ほかにもゴア行きの電車はいくつかあるが、まるまる12時間かかるし、出発や到着時刻があまりよろしくない。
それでも、心はすでにビーチ仕様。
とにかく早く行きたいから夕方遅くに着く電車に決めると、ふたたび心に喜びのさざ波が立ち始めた。


終点より3駅手前のティヴィム駅で降りると、むわっとした熱気に、半日冷房に慣れきった体からじわじわと汗が噴き出る。
ただいま18時半、もうじき日が落ちて真っ暗になるので、なんとか明るさが残るうちに目的地アンジュナまで連れていって欲しい一心で、オートリキシャーに乗り込む。
きちんと舗装された道路でガタガタ揺れることはないものの坂のアップダウンが激しいので、上り坂になった途端にがくんとスピードが落ちてしまうオートリキシャーがアンジュナに着いたのは、完全に夜になってからだった。
それにしても毎週水曜日に開かれるお土産や洋服の巨大フリーマーケットで有名なアンジュナだから、道の両側には宿やレストランがまんべんなく並ぶにぎやかな通りをイメージしていたのに、街灯もまばらでところどころにぽつぽつと建物があるだけ、というのには驚いた。
宿探しの最中に停電に見舞われ、ビーチに近いのかまともな部屋なのかの判断もよくつかないままチェックインを済ませ、さっさと近くのレストランで念願のビールをオーダーする。
ぼんやり「あぁ、ゴアに来たんだなぁ」と思いながら、のどを鳴らして一気にごくごくと流し込む。
インドでは大っぴらに飲酒するのをよしとしない上に、アルコールに高い税金を課している州がほとんどなので、これまでの道中、ビールはごほうび的な扱いでたまにしか口にしなかった。
しかし、ゴアは唯一の例外で非課税のため、これまでよりはるかに安く、人の目をはばからずに飲むことができる。
ビール党の我々にとって、これは朗報以外の何物でもない。
さて、次の日はお待ちかねの水曜日、フリーマーケットの開催日だ。
砂浜の上と、そのさらに奥に続く砂漠のような空き地にもたくさんの露店が並ぶが、この時期は日中暑くてかなわないから午前の早い時間からチェック開始。
ツーリストに受けそうな洋服やアクセサリーの店が幅をきかせ、その合間にアンティーク屋、スパイスの量り売り、ハンモック屋などが並ぶ。
歩いても歩いてもとにかく店が途切れることはなく、途中でランチ休憩を挟んだとはいえたっぷり3時間かけても、まだすべてを見きれてはいないだろう。
それなのに、空き地のままの出店スペースはさらに奥まで延びている。
いったい11月~2月のツーリストの多いシーズン中は、どんなことになるんだろう?

マーケット散策には満足したが、宿がビーチのそばではなかったのが残念だったアンジュナを離れ、より理想のビーチライフを求めて移動してきたのはアランボール。
ゴアを訪れたことのある友人たちにオススメのビーチはどこ? と聞いてみたところ、全員一致でよかったという返事が帰ってきたのがきっかけだった。
何軒か見せてもらった宿のうち、部屋から海が見えるかどうかや設備、清潔さ、価格に納得のいくところを見つけて、根城を確保。
バックパックのいちばん底に眠っていた水着を取り出し、いそいそと着替えてビーチへ向かう。
50歩も歩けばもう海に入れる、ナイスな距離。
これなら行きも帰りも、楽ちん楽ちん。

海に入った遊んだら、サンセットに備えて体力を温存する。
18時過ぎから徐々に暮れていく空を宿のテラスで眺めつつ、そろそろクライマックスに近づいてきたと思ったらビーチへ出動。
夕日が海の彼方に沈んだのを確認しても、まだその場から離れずにじっと待つ。
すると、いったん暗くなりかけた空が、19時頃に一気に赤く染まってぱっと全体を明るく照らす一瞬が訪れる。
この一連の空の動きを楽しんでから、ようやく夜ご飯をどこで食べようかとぶらぶら歩き出す。



アランボールのビーチには、雰囲気も味もよいレストランやバーがこじんまりとビーチにまとまっている。
しかも店同士が密集しすぎず、程よい距離を保っているのでゆったり過ごせそうなのが好印象。
おかげで今日はBGMが素晴らしいからこの店で、明日は料理がおいしそうなあっちへ行ってみようなどと、遠くまで歩いて探さずともよりどりみどりなのがうれしい。

目の前のビーチにいるだけでも充分楽しめるが、アランボールの楽しみはまだまだ尽きることがない。
ビーチとは反対方向の細い道を進んでいくと、さらにもっとこじんまりとしたビーチが現れて、その向かい側には湖もある。

少し波の強い海よりも、湖のほうが泳ぎやすいのかこちらで遊んでいる人が多い。
我々もそらにならって湖に入ってぷかぷか漂っていると、ムンバイからやってきたインド人に話しかけられ、しばしおしゃべり。
「ムンバイでは1分1秒が大切だ」という彼の言葉に、時間の概念がゆるいインドでも都会は事情が違うということを知らされた。
きっと都会の忙しさから抜け出したくて、のんびりしたゴアで休暇を過ごすことにしたのだろう。
うれしそうに「ゴアはcomfortableだ!」と話していたのが印象的だった。
毎日泳いだり飲んだり夕日を眺めたり、特筆すべきことは何もしていないのに、毎日が驚くほど充実したビーチライフはもう少しだけ続く。


大きな地図で見る
2009.4.7-11 アンジュナ – アランボール / Anjuna – Arambol

Join the discussion 6 Comments

  • daichirou より:

    海岸に牛ってすげーシュール。
    つか年賀状っだったってのも面白いね。
    サーファーはいないんだ?
    展示楽しみにしてます。

  • かな子 より:

    ■daichirouくん
    不思議だよねぇ。
    砂浜に寝そべって、ヤシの葉で葺いたレストランの壁に体をこすりつけて掻きむしったりしてるからね(笑)。
    一度アランボールでショートボードを抱えたサーファーを見かけたけど、数分後には海からあがっていました。
    遠浅のせいなのか、波の質がよくないのか。

  • GAKU より:

    クリケットぜひ参加してみてください!
    だらだらと半永久的にやるのでかなり退屈。
    僕も何回かビーチでやったことがあるけど、本当によっぽど暇な時しかできない貴重なスポーツです。

  • かな子 より:

    ■GAKUさん
    あれね、いつ終わるのか、そしていったいどこまでやったら勝てるのか、端から見ていてさっぱりわからない。
    自然発生的に始まって、自然消滅的に終わってるんだろうな、という予想は遠からず、って感じだね。
    でも、GAKUさんがやったことあるっていうのが、なるほど納得です。

  • かず より:

    お久しぶり~♪
    毎日、楽しみに読みには来ているんだけれども、書き込みはホントに久しぶりです。

    って、クリケット、ぜひやって来て下さい。
    僕もよく分かってませんが、半日あればワンデイマッチでも終わると思うので。テストマッチだと1日では終わらない長さだけれど。

    昔、スリランカに行った時にちょうどワールドカップがやっていて、ずっとテレビ、見てた。

    すっげー暇。
    (暇人の僕が言うのだから、相当暇だと解釈してください)
    途中で休憩、入りまくり。
    こっちも休憩しまくり。
    点差もあきまくり。
    途中で今、何オーバーなのか、何人アウトになったのかが分からなくなる。
    ってか、そもそもルールがそこまで良く分かっていないのもあるのでしょうが、ぜひ僕の代わりに、印度滞在中にクリケットの面白さを見つけて来て下さい。

  • かな子 より:

    ■かずさん
    またどっか海外に出かけてるのかと思ってた。
    1日で終わらない試合って、いったいどんななのよ。
    忍耐勝負?
    いや、インド人がそんなに耐えられるはずはない(笑)。
    この前、インド人が一生懸命ルールを説明している場面に遭遇したけど、まったくわかってもらえていないようだったよ。
    端から聞いていてもまったく意味不明。
    そもそも、英語の理解力が足りないって話もあるけど。

© Tabioto all rights reserved.