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中南米の旅をしているときに仲良くなった友人が、鎌倉にやってきた。
帰国後、ずっと山小屋で働いていたふたり。
しばらく山にこもっていたから何かしらの変化があるかと思っていたけど、ちっとも変わっていなかった。
よく見れば足元も旅の最中と同じ、トレッキングシューズを着用。
よし、これなら散歩程度の観光ではなく、しっかり鎌倉を堪能してもらおうか。
公共交通機関を使わず、朝から夕方までひたすら歩きまくってたどり着いた先は、紅葉の美しい山の中。


鎌倉の郊外にあるその場所は、不便なところにあるにもかかわらずたくさんの人がやってきていた。
その中でも多かったのがストック持参、リュックやトレッキングシューズを身につけたトレッカー。
山に登る、というほど大げさでもないけれど、ぬかるんでいたり段差がまちまちだったり、それなりの準備をしていたほうが好ましいでこぼこ道。
山をよく知る友人たちも、装備はばっちり合格点。
それ以外は、街歩きのままついでにふらっと来てしまったような軽装の人々。
……でもって、私たちが靴底がツルツルの、まさに山登りに全然ふさわしくないいでたちをしていた。
当初はここをメインで訪れようかとも考えていたのだけど、久々の鎌倉だからお寺めぐりも、街の散策も、なんて欲が出てしまって、結局散歩スタイルで家を出てきてしまった。
ふさわしくない靴着用のまま、いざ出発。
足元をしっかり見ながらえっちらおっちら登っていくこと20分。
ぬかるんだ道の上で泥まみれになった落ち葉の数が、どんどん多く、どんどん鮮やかな色へと変わっていく。
踏みしめたときの音も、ぬちゃぬちゃと水分たっぷりのものから、しゃわしゃわと軽く、乾いた感じに。

視界が開けたところにはベンチにぴったりの丸太が転がり、そこに腰掛けている人、立ったまま空を見上げている人がいる。

登る前から歩き通しだったので、ランチを兼ねて丸太ベンチで休憩。
ふくらはぎのじわーっとした疲労を感じながら、買ってきたパンをほおばる。
目の前には黄色く色づいたイチョウが一面に広がり、ところどころに真っ赤なもみじ。
しかし上を見ればいきいきとした緑の葉っぱも多く、もう少し先でもまだ紅葉を楽しむことができそうだ。

食べ終えて満腹になり、食後のぼんやりした眠気を楽しむように座ったまましばらく鑑賞タイム。
ひとしきり満足したので、よっこらせと重くなった腰を上げて降りていく。
本当なら、ここからさらに登っていくとさまざまな紅葉の表情を楽しめるが、それはまた今度におあずけ。
ふたりを駅まで見送ってから家に戻り、さっそく翌週末のスケジュールを確認する。
よーし、とくに予定はないな……。
やっぱり全体が暖色で埋め尽くされた風景が見たくて、もう一度いこうかなぁ、なんて考えてしまうのであった。

2008.11.30 鎌倉
by かな子

Join the discussion 2 Comments

  • タコ市長 より:

    いいねぇ。
    俺らも、特に旅に出て以降、歩くことがとても好きになってます。
    一番金気軽に自然に楽しめるしね。(金もかかんないし)
    一度こっちにも遊びにおいで。
    5月に150kmのロングウォークに出かける予定です。

  • かな子 より:

    ■タコ市長
    歩くことが楽しいって思えるの、いいよね。
    タダだしね(笑)。
    ふたりとも、平日は会社近辺をフラフラ散歩していることが多いよ。
    鎌倉とはまた違った、活発に動いている街の中を。
    150kmウォークって!
    何日ぐらいかけて歩くの?

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