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チビオトとの海外の旅も8度目。
長時間のフライトでぐずる年齢でもないし、できれば家族全員行ったことのないどこか遠い場所へ、と思っていたのに、なんだかんだで渡航先はタイに。
東南アジアは慣れもあるから、新鮮味に欠けるよなあ……と考えつつ、スワンナプーム国際空港に降り立った。

バンコクにやってきたのは5年ぶり。
その頃チビオトはまだ1歳で、親が抱っこするのと、自分でよちよち歩くのとが半々だった。
真冬の日本から、いきなり最高気温30度を超すタイに着いていちばん参ったのは、昼間出歩けないこと。
抱っこだと終始体が密着していて熱いし、小さなチビオトにとっては地面からの放射熱も大人以上に堪えただろう。
すぐに顔が真っ赤になってしまい、冷房の効いたショッピングモールや図書館に行くか、ホテルの部屋で休むしかなかった。
どうしても行きたかったチャトゥチャックのウイークエンドマーケットだけはなんとか繰り出したものの、暑すぎて早々に退散したのを覚えている。
大人だけの旅とは違い、思った以上に行動できる時間が限られているんだと実感した。

時は流れ、チビオトは6歳になった。
5年前はいつ転ぶかとはらはらしながら見守っていたが、今は仏像にペタペタ触らないかでひやひやするように。

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2012年 1歳のとき

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2017年 6歳のとき

前回ほとんど楽しめなかった分、今回はどうしても!という思いがあって、2日目にウイークエンドマーケットに出かけるスケジュールを立てた。
これまでの旅では、市場やらお店やらを冷やかしていると退屈して「ねえ、まだ?」と何度も何度も聞いてきてゆっくり吟味できなかったが、さて、どうなるのだろう。

今回はたまたま涼しい日だったことも功を奏して、朝から夕方まで7時間もいることができた。
途中でカフェに寄ったり、彼が欲しがったものを買って退屈させないようにはしたが、こんなに長い時間いっしょに外出できると思っていなかったので、帰る頃「ずいぶん長いこと出かけてたんだなあ」と、その事実に気づいて驚いた。
そうか、もう昼寝や休憩のことを念頭に置かなくてもよくなったんだ……。
その後に訪れたチェンマイやチェンライでも同様に、街歩きやマーケットでの買い物をたっぷり満喫した。

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思えば、これまでの旅と比べてホテルで過ごす時間がぐっと減った。
午前中に出かけて、夕方ちらっと部屋に寄って荷物を置き、ちょっと休んだら、また夕食のために出かける日々。
大人と同じぐらい歩いているはずだが、あまり疲れた様子も見せず、夜寝て朝起きたら元気いっぱいで「今日の予定は?」と聞いてくる。
お世話の必要な小さな人から、旅の相棒のような存在に変わってきたのかもしれない。
大人だけのときのような、自由気ままな旅に少し近づいてきた。

そんな事情もあって、今回は夜中に起きて車で移動して、その後30分ほど軽い登山をしてから絶景の中で日の出を拝む、ということにもチャレンジできた。
抱っこでの登山も覚悟していたのに、大人よりもスイスイ山道を登っていってしまった。
朝日が顔を出すのを待つあいだに居眠りをしたり、誰かが操縦しているドローンに心奪われて肝心の風景には目もくれなかったりと、まあそんな感じではあったが、この旅最大の見どころを、3人それぞれが楽しめたことは本当にうれしかった。

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もうひとつのうれしい変化としては、母国語以外に興味を持ったこと、だろうか。
例えば、現地の子どもと遊ぶとき。
2年前のモロッコの旅から「何を言っているのかわからない」と言葉の違いに戸惑っていたが、今回はさらにその傾向が強くなったように感じた。
日本では見知らぬ子に近づいていき、あっという間に仲良くなって楽しく遊ぶチビオトが、最初のうちは子どもと関わることを避けているような感じさえした。
でも、帰国日が近づくにつれて知っている数少ない英語、「YES」「NO」「HELLO」「JAPAN」などを駆使して、必死にコミュニケーションを取ろうと奮闘し始めたのだ。
相手が何を言っているのかわからなくても、自分を指差して「JAPAN!」というように。
それで何かを伝えられているかと言われれば甚だ疑問だが、自分が何者かのアピールはひとまず成功しているように思える。

また、『地球の歩き方』の巻末にあるタイ語のページを見ながら、タクシーの運転手に話しかける、ということもあった。
残念ながら、カタカナの振り仮名を棒読みしたためかほとんど通じなかったが、その心意気には大いに拍手を送りたい。
(余談だが、移動中に『地球の歩き方』を渡すと、むさぼるように読んでいた。知っている漢字を組み合わせて自分なりに解釈していたらしい。たまに「ねえ、『一攫千金』『黄疸』ってなんて読むの?」と聞かれることはあっても、基本的には黙々と読書するので助かった)

これで「ボク、外国語を勉強したい!」と言ってくれたら万々歳、という親の思惑は見事に外れたようで、帰国から1週間ほどたった現在でも、その素振りはまったく見せない。

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何度も来ているタイを楽しめるのだろうかと心配していた出発前のことが嘘のように、「もっとタイにいたい!!」と全員の意見が一致した。
名残惜しい気分でいっぱいの2週間のタイの旅は、こうして幕を閉じた。

まもなく小学校入学を迎えるチビオト。
さまざまなことを学校で学び、その知識が旅で出会う人やモノ、場所とどう結びついていくのだろうか。
新たな子連れ旅の楽しみができそうな気がする。
また家族3人でどこかに出かけるために、しばらくは仕事に精を出そう。

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