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日本の味に誘われて

2009/06/15


食は、最大の楽しみにして、最高の元気の源。
ダージリンやシッキム州では、住人の多くがこれまでのインドとはがらっと変わってネパールやチベット系が多くなり、ぐっと親しみやすくなった。
それは顔立ちのみならず、街の食堂で供される食事もまた然り。
スパイスたっぷりの料理から解放され、胃袋が喜ぶのを感じられるような、ほっとする味のものが増えた。
日本食に通じる料理も多く、目の前に出されたほかほかの湯気を立てた一品を前ににんまりする日々が続いた。
それだけ食事情には満足していたはずなのに、旅の途中で出会った情報を目にして思わず鼻息を荒くしてしまった。
これは食べたい、絶対に見つけなきゃ。
インドで納豆が売られているなんて知ってしまった以上、寄り道だっていとわない。
どんなにおいしくてもやっぱり日本の味にはかなわない、という証拠?


納豆を買いに。ただそれだけのためにやってきたカリンポン。
シッキムの州都ガントクからジープで下ってくると、まだ標高は1000m以上もあるというのにだいぶ暑く感じる。
ちゃんと納豆が買えるタイミングでと、やってきたのは水曜日。
というのもこの街では水曜と土曜にカリンポン・ハットと呼ばれる市が立ち、そのときに売られるらしいことがわかっていたからだ。

すでに昼時を過ぎ、早くランチを取らないと夜に響くとわかっていながら、それでもまずは納豆探し。
当然、呼び名は納豆ではなく、キネマというらしい。
目を凝らしてそれらしいものを探して歩くと、あったあった。
売り子のおばちゃんもこちらに気づいたらしく、「ナットウ!」と呼びかけてきた。

買う気は満々だけど一応チェックをさせてもらうと、葉っぱを何枚も重ねて計り売り用に待機中のキネマは、まさしく納豆の香り。
見たところ、粘り気はさほどでもなさそうだ。
味見をさせてもらうと、粒は少々固めだが間違いなく納豆の味。
口いっぱいに広がるあの独特のくさみがたまらない。

ほかにも辛みをつけた味付半生風のキネマとドライキネマがあったので、すべて購入。
買い物を終えてからおばちゃんに尋ねると、キネマはこの辺り特有のものという訳ではなく、もともとはネパールの食材のよう。
食べ方はカレーのように煮込み料理に入れるのが一般的とのことだが、いったいスパイスとどんなコラボレーションを果たすのだろう、ぜひこれも食べてみたい。

しかし、その後何軒かのレストランでキネマがあるかを聞いてみたが、答えはいずれも「No」。
親切にも市場で買えることを教えてくれたりもしたが、すでにそれはカバンの中に入っている。
あくまで、料理としてどんな食べ方をしているのかが気になるというのに。
じつはカリンポンを訪れる前夜、フライングをしてガントクの宿に併設されたレストランで、無理を言ってキネマ料理をつくってもらって食べていた。
見た目はカレーだけど、ほのかに納豆の香り。
口に入れてみると、あれ、まったく辛くない。
味噌の味はしないけれど、どことなく納豆汁に近い味わいだ。
ご飯の進む素晴らしいおかずに、思わずおかわり、と言いたくなった。

このときにいっしょに食べた料理も、また絶品だった。
テントゥクと呼ばれるほうとうのようなもので、だしの効いたスープもおいしい。
チキンテントゥクをオーダーしたらたっぷりのほぐした鶏肉と千切りの野菜が入っていて、主食とおかずが合体したようなボリュームたっぷりの一品。

ついでにダージリンやシッキム州でよく食べたご飯についても簡単に触れよう。
テントゥクの親戚とも言えるトゥクパは、軽食スタンドでも見かけることのできるポピュラーなチベット料理。
薄味の汁麺で、トッピングも鶏や羊、牛に豚とバリエーション豊富。
お手頃価格なので、ちょっと小腹が空いたときに手軽に食べられるのがうれしい。

軽食の代表格といったら、モモ。
ギョウザによく似たモモは蒸したものと揚げたものの2種類があって、具材も野菜、卵、そして肉といろいろ。
いっしょに出される辛いソースをかけてもいいし、そのまま食べても素材の味が感じられておいしい。

久々の再会を果たしてうれしかったのがチベタンブレッド。
平たく丸いパンの中央に2本線の切り目が入っていて、油をたっぷり敷いて焼く。
パンの端のかりかりに揚がった部分が香ばしくて、あたたかいチャイとの相性も抜群。
しかし、お店によってはぶ厚くて肝心のかりかり部分が台無しになっているものもあったけれど。

大体いつも同じメニューばかりをお願いしていたけれど、お店によって味が違うのでちっとも飽きることなくこれらを組み合わせて食べ続けていた。
さて、キネマを買ったので用事は済んでしまった。
けれどどこも行かずにカリンポンを後にするのも気が引けるので、この街にいくつかあるゴンパを訪れてみることに。
とくに有名なわけではないのでどれも規模は大きくないが、暮らしの一部として宗教がしっかり根づいていることを目にするいい機会となった。
しかし、最後にやってきたタルパ・チョリン・ゴンバで、キネマを買っただけで素通りしなくて本当によかった、と心から思った。
坂のかなり上にあるはずだからちらっと見えてもよさそうなのに、一向にそれらしい建物が見つからず、何度も人に聞いてようやく到着したときにはかなり疲れていた。
壁画を見て、本堂を見て、さあ宿に帰ろうと振り返ったときに見えた隣の小部屋。
扉が開いていたのでちらっと中を覗くと、なんだここは!
穏やかな仏の姿や極楽浄土の絵で埋め尽くされているはずのゴンパの中で、ここだけはまさに正反対の異空間。

鮮やかな色彩を使って描かれたホラーな壁画の数々は、目を背けさせるどころか、より近くに行って見たいと思わせる不思議な力を持っている。
なんとなく入ってはいけない空間だからと心は制止するのに、僧の目を気にしながらパッと中へ、足が進んでしまう。
横尾忠則を彷彿とさせる絵が全面に描かれたこの空間、いったい何のために使われているのだろう。
ちょうど部屋を出たときに「ハロー」と声をかけられて、必要以上にびくついてしまう。
平静を装って笑顔であいさつを交わすと、鍵のかかっている2階の部屋を見せるために案内してくれる。
あの部屋のこと、聞いてみる? どうする?
結局、勝手に入ったことが後ろめたくて聞けずじまいだった。


期待していた納豆と、予期しなかったとんでもない壁画との出会い。
そんな今日の出来事を振り返りながら、今日の夕食はルームサービスで持ってきてもらった白いご飯に、市場で買ったキネマをかけて。
バックパックから非常食として持ってきていた味噌汁を引っ張り出してきて、気分は日本食。
これに箸と醤油があれば完璧だったけど、塩をかけて食べたキネマご飯も、なかなか悪くはなかった。



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2009.6.3 カリンポン / Kalimpong

Join the discussion 2 Comments

  • 明日香 より:

    初書き込み、@フィリピンです☆
    インドで納豆を食べられるなんて、スゴイ!!
    日本でもココイチとかで納豆カレーって、あったような気がしますが、食べたことありません。
    同じ味なのかなぁ?
    テントゥクは見た目、かなりおいしそう♪♪♪
    日本でもつくそうですね。
    フィリピンで日本の食べ物に近いものは、揚げアンパンです。でも中身は小豆じゃなくて緑豆。
    けっこうイケます。

  • かな子 より:

    ■明日香さん
    フィリピンから、ありがとうございます!
    納豆カレーって、どこかで見た記憶もあるのですが、私自身は未体験の味です。
    試してみたいような、やっぱり納豆はそのまま熱いご飯にのせて食べたいような・・・。
    フィリピンの揚げあんパンも気になりますねー。
    そういやガドボっていう鶏肉の料理がありませんでしたっけ?
    あれ、すごく惹かれます。