映画や本で見た絶景を追い求めて現地へ出かけ、自分の目で実際の姿を見ること。
旅に出てしみじみよかったなぁと感じるのは、こんなひとときだ。
ときには演出がよすぎて実物はいまいちだった、なんてこともあるけれど、ほとんどの場合はそのスケールに、美しさに度肝を抜かれ、
こんなに間近で見られる幸運に心から感謝したい気持ちでいっぱいになる。
ジャイプルの街に着いてから、行こうかどうか大いに悩んだ場所がある。
映画『落下の王国』の舞台にもなった幾何学的な石段が連続している、チャンド・バオリーと呼ばれる階段井戸。
ジャイプルから割と近いとは言え、チャンド・バオリーのあるアバネリの街までは約100km弱の距離。
バスで行ける場所でもないし、でもここまで来たんだからという気持ちもあるし、どうしたものかと迷いに迷って……。
結局行くことに。
前夜、車をチャーターするところまではすんなりと話がまとまったが、肝心の価格交渉で一悶着。
思ったよりも値段が張り、「高い」「高くない」「もっと安く」「充分安い」と、ゴールの見えない話し合いになりつつあった。
それでも、最終的にまあ納得のできる価格に落ち着いたのでよしとしよう。
きっと遅れてくるだろう、という我々の読みをあっさりはずして、当日はちゃんと約束通りの朝9時に車が待機していて驚いた。
早速乗り込み、にぎやかなジャイプルの街を抜けると見通しのよい舗装された幹線道路が広がり、ただひたすら走る。
いくつかの小さな街を通り過ぎ、途中で有料道路を通過し、そのうち大きな道路を外れてのどかな農道へと突入してしばらくすると、ふたたび街らしき場所へ。車はここでストップ。
ドライバーに促されて降りた目の前には寺院が建っていて、きっとただ走っているだけでは退屈だろうから寄り道してくれたんだな、という前向きな勘違いをしていた。
すぐ背後に、お目当てのチャンド・バオリーがあるとは知らずに。
ハルシャート・マーター寺院というこのお寺は、ヒンズーの神様や模様の彫刻が落ち着いた色の壁面によく似合う、遺跡のようなところだった。
さて、目的地のチャンド・バオリー目指してさあ急ごう。
ところが、寺院の中にいた女性が向こうへ行きなさいというような合図をしてくる。
もう寄り道はいいのに、なんて思いながらしぶしぶ従うと、ここがそのチャンド・バオリーだった、ということにようやく気づくのであった。
確かに敷地自体はかなり大きいものの、ただ塀をぐるっと回しているだけのようで、ここにそんな壮大なものが眠っているようには到底見えない。
この時点ではまだ「本当にここなの?」という気持ちがあったが、入口を入って内部へ続くゆるいスロープを下っていったら、ようやく疑念が晴れた。
目の前には、あのワンシーンと同じ光景が、そのまま広がっていたのだから。
勝手についてきたガイドによると、ここの井戸は深さが20mもあるという。
そーっと下をのぞくと、股のあたりがすーっとするような、なかなかの高さだ。
建物部分には当時このあたりを支配していたチャンド王のバスルームといった施設が備わり、それ以外の3面すべてが階段状になっている。
ほかにもガイドが気を利かせていろいろ有益な情報を教えてくれるのだが、それ以上に早くじっくり腰を据えてこのバオリーを楽しみたい衝動のほうが強くて、まったく話に集中できなかった。
ガイドと別れてからは、上から、下から、正面からと、さまざまな角度から見て回る。
ぎらぎらと太陽が照りつけているときには影ができて立体的に浮かび上がる石段も、ひとたび太陽が雲に隠れると平面的な模様に見えて、それもまた美しい。
途中までは石段を歩くことができるので登ったり降りたりを繰り返すが、意外と道幅が狭く、手すりもないので慎重に足下を見つめながら歩かなければなんとなく怖い。
幅を計ってみると約60cm弱、大人の肩幅程度しかない。
ここを映画では大勢の人数で一気に駆け下りていたのだから、恐れ入った。
太陽が真上に近くなり、さすがに暑くなってきたのでそろそろ出ることにしたが、今回のインドの旅で初めてガツンと大きな衝撃を受けたのが、このチャンド・バオリーだった。
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2009.3.14 アバネリ / Abhaneri
すごっ!!!
映画は観たこと無いのですが、なんだか「不思議絵」のようです!
当方、高所恐怖症です!
無理です!写真と動画で手に汗かいています!!
これはスゴイ!!度肝だね。
こんな場所見たことも聞いたこともなかったよ。
さすがインド人、変態だね、こんなの作っちゃって。
俺も行ってみたかった!
わ!すごい!
これは怖そう!
「落下の王国」だー!!
すごーい!実際この地に立ったら足ガクガクしそう…
インドは他にもロケ地あるから楽しみだねー
とても幾何学的ではじめはなんだろう?と思いました
でもすごいですね、今度映画をみてみたいです!
先日NHKの地球ラジオでインドでは紙幣の修理屋があるとか???おさつをまとめてホッチキスで留めるため
おさつに穴が開くらしく、それがみな嫌がって受け取らないとか‥‥ホントかな?でもインド滞在のリスナーからの話だとか‥でも日本人が知らないこと、常識では考えられないことがいっぱいあるのでしょうね、おもしろい話を聞かせてください!ではきをつけて!!
■shinroくん
確かに不思議絵みたいだったよ。
焦点を合わせているはずなのに、見ているうちに宙に浮いている感覚になる、というか。
そして、とくに柵が設けられているわけではないので、結構怖かったです(笑)。
■Ryoさん
バオリーと名のつくものは、インドのいろいろなところにたくさんあるみたい。
さっきアップしたブーンディーのバオリーも、かなり規模が大きくてやばかった。
■mikiさん
なにせ通路の幅が狭いからね。
私なんて、走っているうちに足を滑らせて落っこちそう(笑)。
■ヤスコちゃん
結構多いんだよね、『落下の王国』のインドでのロケ地。
でも、じつはまだちゃんと観ていなかったりするんだよね(笑)。
飛ばし見だから、いつか時間をつくってしっかり観たい!
■ひょうさん
はい、まったくその通りです(笑)。
空港で両替したときのお札が、まさにホッチキスを外した穴ぼこが全部に残っていましたから。
そのくせ、キズや汚れのついたお札は受取拒否をされることもあるので、まったくインドは油断ができません。
すごい、ここ!
本当にエッシャーのだまし絵みたい。
一緒に旅気分を楽しんでますよー。
インドのすごさをいっぱい教えてね☆
■asakartちゃん
そうそう、だまし絵みたいだった!
必要があってつくられた施設だけど、それに芸術というか、自分の美学を盛り込んだかつてのインド人は本当に素晴らしい。
規模がケタ違いなので、毎回度肝を抜かれまくっているよ。
映画で見たときは、一瞬CGかと思ったあのシーン!
これ見るためだけでもインドに行きたくなりますね。
圧倒的な造形というか、曼荼羅建築(ちょっと違うな)。引き込まれるような、突き放されるような。
こんにちは~。コメントは久しぶりです。
「落下の王国」観ました~。
あまりに壮大な景色ばかりで、この景色を覚えていなかったんですが、
こうしてここだけピックアップすると、迫力の光景ですね。
興味を持って調べてたら、インドってすごいものばっかりなんですね~。
やっぱり、一生に一度は行くべきか?と考えてしまいました。
どうぞ、お気をつけて充実した旅をして下さい。
楽しみに拝読させていただきます!
■chokiさん
まさに引き込まれる感じがしました。
ただ日陰があまりないので、日中行くとかなり暑い!
それでも映画効果なのか、ちょこちょことツーリストがやってきていましたよ。
■マイキーさん
ありがとうございます。
私も一生に一度は! と思って、今回来てみました。
子連れ(まだ歩けないから1歳前?)の人たちも見かけましたが、さすがにそれはちょっと躊躇してしまいます。
いろいろ強烈なものが多いので(笑)。