夏仕様のアルパカたち

先日、寄り道がてらに訪れ、度肝を抜かれた大谷資料館。
じつはもう1カ所、栃木県内で行く気マンマンだった場所があった。
那須町にあるアルパカ牧場だ。
しかし、思いのほか大谷資料館で時間を使ってしまい、営業時間内に間に合いそうになかったために泣く泣くあきらめたのだった。
車中ではため息まじりに一言。
「あーあ、アルパカに会いたかったな……」
あれから2週間。
家の近くに、アルパカの住む牧場があるということが判明。
それならば、さっそく行って触れ合いたい！
さてその前に、アルパカっていったいなんだ？

アルパカは標高の高いアンデス山脈に住む、モコモコの毛に覆われた体と、長いまつげにつぶらな瞳が印象的なラクダ科の動物。家畜として飼われていて、その毛でつくられたショールやセーターはお土産としても人気が高い。
近縁の動物として、リャマ・ビクーニャ・グアナコがいるが、リャマとアルパカは違いがよくわからないほど似ている。

アンデス地域を旅していたとき、数十等の群れがのんびり草を食む光景によく出くわした。
歯を左に右にすり合わせ、草をすりつぶすように食べる姿がかわいいリャマやアルパカに、すっかり魅了されてしまった。
日本ではまずお目にかかれないだろうと思っていたアルパカに会えるのは、家から車で30分ほどのところにある氷取沢ファミリー牧場。
大きな幹線道路のわきにある細い道を進み、周囲の景色が一面畑に変わってきた頃に見えてくる黄色い建物がそうだ。
柵の中に、いるいる、かわいいアルパカたちが。
でも、ちょっと様子がおかしい。
よく見ると、ちっともモコモコしていない！

こじんまりとした牧場の入口でエサを買い、柵の中へ。
手にしているカプセルの中身がエサだと知っているためか、一斉に熱いまなざしを向けてくる。

あわててカプセルを隠すそぶりをしてみたが、もう遅い。こちらに向かって小走りで近づいてくる。
カプセルを開ける時間も待ちきれないのか、手のあたりをベロベロ舐めて急かすアルパカたち。
手のひらにエサを載せるやいなや、ペロリと食べてしまう。
あっという間に完食し、「もうないの？」という目でさらにねだる。

我々がアンデスで見ていた姿とは異なり、頭と足の一部に毛を残して刈られ、ふた回りほどコンパクトになった彼ら。
飼育にあたるおじさんに話を聞くと、最近マザー牧場から職人を呼んで刈ったばかりとのこと。
湿度が低く、日中の寒暖の差が激しい高地に暮らすアルパカにとって、日本の夏は少々厳しいかもしれない。
夏仕様になることで、少しでも涼しく感じてくれればいいのだけど。
しばらくいっしょに過ごしていると、それぞれの個性が見えてくる。
食いしん坊な女の子、マッシュ。
靴下を履いているような模様がかわいい、ソックス。
いちばん体が大きいのに、おとなしくてかなり臆病なミカ。
イケメンだけど、ヨダレをダラダラたらしがちなまさひろ。
目の上にどこかで見たようなマークが入っている、ナイキ。
まだ1歳を迎えたばかりの、やんちゃざかりが勢ぞろいだ。

もともとは競走馬やポニーを飼っていたこの牧場。
牧場主がペルーに行ったことがきっかけで、アルパカを飼育することになったそうだ。
日本では珍しいこの動物のお世話って、大変じゃないのだろうか。
「馬はデカいし洗うの大変だし、蹴られると大ケガするけど、アルパカはおとなしいし、足が短いから蹴ろうと思っても届かないんだよな。アハハ」
意外とそうでもないらしい。
たっぷり触れ合って満足した我々は南米気分が盛り上がり、そのままさらにお出かけ。
到着したのは、追浜にある南米食材店TUCANO。
以前、鶴見まで食材を買い求めに行ったお店が、比較的近いところにもあるということを友人に教えてもらっていたのだ。

店内には飲み物や缶詰だけでなく、冷凍食品やスナックもある。
ここでおおきなかたまりの牛肉を仕入れて、いつか自宅でシュハスコをやる日も遠くはない？

TUCANO　追浜店
京急 追浜駅より田浦方面へ徒歩6分、国道16号線沿い。セブンイレブン近く。駐車場なし。
2008.7.26　横浜
by かな子