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朝6時にアラームが鳴る。
カーテンを開けると外はまだ完全に夜が明けきってはいなくて、日中の暑さがリセットされた白い街並みになっている。
手早く身支度を整えてバスターミナルへ向かい、ローカルバスに乗り込む。
走り出したバスの窓から入る風は、まだまだ心地よい。
これがあと1~2時間もすると、涼しい風から温風に変わってしまうだろう。
2日に渡って世界遺産となっている遺跡を訪れることにしたのだが、とにかく今の時期の暑さは容赦がない。
早めに行動開始しないと、暑さに負けてギブアップしかねない。



1日目は遺跡観光に便利な街、アウランガーバードからバスで3時間半のアジャンタへ。
30の仏教石窟群を持つここの最大の見どころは、非常に保存状態のよい壁画。
感心したのは、壁画を維持するためのさまざまな配慮だ。
石窟の入口には係の人が待機し、ドアの開閉と入場者数のカウントをしていて、一度に人が押し寄せないように管理している。
内部にはほのかな空調と絶妙なライティングで、明るすぎず暗すぎず、雰囲気たっぷりの空間で壁画と対面することができる。
いきいきした壁画は、とても数千年前に描かれたものとは思えないほど、くっきりと色鮮やかな姿で残っている。

壁画を堪能したら外に出て、階段や坂を上ったり下りたりしてほかの石窟も見ていく。
柱がたくさん並ぶもの、彫刻が見事なもの、肋骨を模した天井が印象的なものなどそれぞれが個性豊かで、遺跡にそれほど興味のない我々でもすべて見終えるのにたっぷり2時間かかってしまった。




最後にすべての石窟群を見渡せる展望台に上って、本日の見学を締めることに。
段差がばらばらの階段を、ふうふう言いながら登っていく。
空気が乾燥しているから汗をかいてもベタベタしないけれど、乾かないうちからどんどん汗が噴き出して顔や体を伝っていく。
途中の水飲み場で汲んできた水を体にバシャバシャかけながら、10分ほどで頂上へ。
ここからは馬蹄形になった石窟群の全景が見下ろせるので、今までこんなところを歩いていたのか、ということがよくわかる。


2日目はバスで1時間弱という近さがうれしいエローラへ。
ここには全長2kmという敷地に、34もの仏教・ヒンズー教・ジャイナ教の石窟群が広がる。
チケット売場を過ぎたところにある庭が美しく手入れされているので、これは昨日に引き続き期待大、と思っていたが、石窟自体はドアがつけられているぐらいのもので、かなりあっさりとした管理の仕方だった。
照明もないため、割と暗くて奥のほうはあまりしっかりとは見えず。
ライティングでこれだけ印象が変わるということを比較する、いい機会にはなった。


しかし、ハイライトとも言うべき、ヒンズー教のカイラーサ寺院のスケールにはとにかく圧倒されっぱなしだった。
まずは上からどれぐらいの大きさかを体感してみようと、坂を上って眺めることにしたが、眼下にいる観光客が米粒に見えてしまうほど。
建物上部の彫刻も見事で、これは早く中に入って間近で見てみたいと、いそいそと下りていく。

巨大な岩をこつこつと彫ってつくったことを疑いたくなるぐらい、緻密な彫刻で埋め尽くされた寺院のはるか上を見上げる。
これほどの壮大な仕事に費やされた時間を思うと、我々の日常での時間の感覚が一気に狂ってしまいそうだ。
スケールの大きさと暑さに少しくらくらしてきたので、中に入って休み休み見ることに。
薄暗く涼しい空間に座っていると、ようやく心も体もクールダウンしていく。

カイラーサ寺院の素晴らしさに心奪われ、エネルギーを使い果たしてしまったようなので、1kmほど離れたところにあるジャイナ教の石窟群はパスすることにした。
連続して遺跡に触れたことで、それぞれの違いや面白さを見比べることができた2日間。
欲を言えばもっと涼しい時期に訪れたかったな、という思いはあるけれど、こんなに心から遺跡を楽しめたのはペルーのマチュピチュ以来かもしれない。
2009.4.3-4 アジャンタ – エローラ / Ajanta – Ellora

Join the discussion 4 Comments

  • ガク より:

    まるで『ブッダの世界』みたいな写真集(あるかないかは知らない)に出てきそうな写真だね。
    すごく迫力が伝わって来るよ。
    民族、自然、遺跡、人と本当に楽しんでいるのが分かります。
    自分も時間とお金に余裕があれば改めてインドを攻めたい気持ちになってきました。
    しかしとりあえず当分はいけないので、次の記事楽しみにしてます。

  • スミサト より:

    ■ガクさん
    まさに『ブッダの世界』でした!(あるかないかはこちらも知りません)
    仏教遺跡が大事に保護されていることが嬉しかったです。
    インド、改めて凄いなーと思う瞬間が沢山あって面白いです。

  • かず より:

    アジャンターの方は日本のODAと国際協力銀行の援助が入ってますもんね。確かそれを活用して低公害バスと非発熱性の繊維を使った照明を導入していた筈です。
    日本って色々やっているな~と思った記憶が。
    比較的涼しい時期に行くと、エローラの崖上の全く未整備の遺跡とかも歩けますよ。ま、廃墟ですけれど…

  • スミサト より:

    ■かずさん
    なるほどねー、それでアジャンターの方が充実している訳だ。
    エローラも援助してあげればイイのに、なんて思ってしまうけどね。
    崖上、登ったけど、途中で引き返してきたよ。そんなのあったんだね。でも廃墟か。

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