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駅に到着すると、ぶどうの絵が描かれた箱を何個も抱えた人があちこちにいる。
売り子だけではなく、お土産用に持ち帰る一般客らしき人もいるようだ。
外に出ても、ぶどう売りが街の至るところで商い中。。
やっぱりぶどうが有名なのだろうか、ここナーシクは。
ムンバイから電車で3時間強のこの街は12年に1度開かれる大規模なヒンズー教の祭典、クンブメーラの舞台として有名な聖地だが、次回は2019年の開催予定だし、巡礼のためにやってきたのでもない。
ではなぜか。
近年注目されつつあるインドワインの工場を見学して、その後のお楽しみ、テイスティングのために。


街の中心部から8km離れたところにあるスーラ・ヴィンヤードは、インドでのワイン生産の草分け的存在。
日本にも輸出されているので、太陽をモチーフにしたラベルに見覚えがある人もいるかもしれない。
今でこそこの地にはさまざまなワイナリーが並ぶが、飲酒習慣のある人はごくごく限られ、州によっては禁酒法があるほどのインドで、世界的に認知されるようになるまでの道のりはきっとかなり険しいものだったはず。
つまるところ、シリコンバレーでファイナンシャルマネージャーをしていたというオーナー、ラジーブ氏の先見性と大胆さと行動力が、インドに新たな魅力をもたらしたということだろう。

ワインに詳しいわけではないけれど、チリやアルゼンチンを旅してワインのおいしさに開眼した我々は、オートリキシャーに往復の送迎をお願いして出発する。
街の郊外に差し掛かると、だんだんとぶどう畑の広がる風景に変わっていく。
道ばたのところどころに目印としていくつかのワイナリーの看板があり、それに従って進むと周辺の畑よりも小高いところに建つスーラ・ヴィンヤードに到着。
タイミングよく1時間毎に開催している見学ツアーがもうすぐ始まるというので、オープンテラスのレストランで待機する。
奇妙な形をした山、青い湖、手前には一面のぶどう畑。
この美しい調和のとれた風景を見ていると、フランスやイタリアといった有名ワイン生産地にでもやってきた気分になる。
ちなみにナーシクは、フランスのボルドーとよく似た気候なのだとか。

ツアーではひと通りの生産行程についての説明がある。
ここで生産されるワインの約2割が海外輸出用と言っていたけれど、残りの8割は国内ですべて消費されうるのだろうか。
本当にそんなことが可能なの? なんてことをずっと考えていたせいか、また工場内に充満するあの独特の香りをかいでぽわーんといい気分になったためか、その後の説明にはあまり集中ができなかった。

最後にはお待ちかねのテイスティングタイム。
赤・白・ロゼと6種類、それぞれのワインの簡単な特徴を教えてもらいながら試飲をしていく。
普段はもっぱら辛口の赤、という我々だが、スーラ・ヴィンヤードのワインは白のほうがより口に合う気がした。
少し甘みがあって、飲み口は意外とすっきり。
連日35度を超える暑さで、からからに乾燥しきったこの気候によくマッチしていると舌が感じたのかもしれない。
価格もお手頃なので、いちばん気に入ったワインをお買い上げ。
これをキンキンに冷やして飲む日が、今から待ち遠しい。

■スーラ・ヴィンヤード(英語のみ)
http://www.sulawines.com/
スーラ・ヴィンヤードのワインは
楽天で購入可能。

まだ日本での認知度が低いインドワイン、パーティーなどの手みやげに持参すれば話題になること間違いなし。

大きな地図で見る
2009.4.1 ナーシク / Nashik

Join the discussion 2 Comments

  • daichirou より:

    まだワインに開眼できてない俺には、
    インドにワイナリーがあるなんて
    夢にも思わなかった。
    というか、飲酒のイメージがない国なんだけど、
    日常ではどんなお酒吞んでるの?
    日本ではこの一週間さくらが勢いよく咲き乱れ、
    その下で人もだらしなく酔い乱れてる感じです。
    今年のさくらもきれいです。
    ひまわり咲く頃には戻ってきてるのかな?

  • かな子 より:

    ■daichirouくん
    雑誌か何かでインドのワインのことを知った気がするけど、行くまでは正直言ってそれほど期待はしていなかった(笑)。
    でも、のんびり作業している様が、インドらしいなー、と思いました。
    さて、この国では宗教上、飲酒習慣のある人はそれほど多くはありません。
    高級レストランに行けばメニューにもきちんとお酒の項目があるけれど、それ以外のところではあまり大っぴらには出したがらない様子。
    さらに、酒税が20%もかかるので、日本で飲むのとそれほど値段は変わらず。
    酒飲みにはなかなか厳しいかも。

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