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インド行きを決めてから、ぜひ訪れようと思っていた街がいくつかある。
そのうちのひとつが青い家々の連なりが印象的な街、ジョードプル。
映画『落下の王国』にも登場するその美しい街並みを、実際に見てみたいと思ったのだ。


ここのところバス移動で5時間、というのがパターン化してきたが今回もまた然り。
正午過ぎに着いたのは跨線橋のちょうどてっぺんのあたりで、バスターミナルまで走ることなく終点となってしまった。
バスを降りたところには何台ものオートリキシャーが待ち構えていて、ぎらぎらしたまなざしとまくし立てるような宣伝文句で集まってくる。
それにしても、想像していたのとは大違いの大都会に少々面食らう。
車もバイクも人も建物もとにかくあらゆるものが密集していて、青い街の涼しいイメージとは無縁の世界だ。
本当にあんな街並みを見られるのか、ちょっと疑いたくなるぐらい。
宿に到着して屋上に上がってみると、目の前にはメヘランガルという大きな城塞がそびえ立っている。
この裏手に見えるのが、お目当ての青い街並みらしい。

翌朝、張り切って登り坂を歩いて向かう。
15分ほどして到着した入口には、着飾った人や馬でごった返している。
どうやら映画の撮影中のようで、どうりでこのメヘランガルの雰囲気にぴったりの、中世風の衣装をまとっているわけだ。
ただ、足下は映らないからいいのか、はたまたそこまで細部にはこだわっていないのか、白いスニーカーやビジネスマンのような革靴などバラエティに富んでいた。

ちょっとしたサプライズに喜んだ我々だが、中に入ってもうひとつのうれしい驚きが。
通常、英語かヒンズー語に限られていて、なおかつ別料金を取られることの多いオーディオガイドが、日本語を選択できるうえに入場料を支払えば無料で借りられるのだ。
説明ポイントには数字が書かれた看板が立っていて、その番号を入力すると心地よいナレーションで解説が聞ける。
英語だといまいちわかったようなわからないような説明も、これならちゃんと理解できるのでありがたい。

外から眺めても当時の贅の限りを尽くしてつくられた建物であることがよくわかるが、内部もそれに負けずとも劣らずの豪華ぶり。
金色に塗られた天井や柱、色とりどりのステンドグラス、広い広い室内にちょこんと置かれた家具。
ここに大勢の人が集い、歌ったり踊ったりとさぞかしにぎやかだったのだろう。
また、ほかの場所には見やすいように並べられた調度品が多数あり、こんな豪華な品々を間近でじっくり見られるのはなんとも贅沢。
博物館や美術館を熱心に回るタイプではないけれど、工夫が垣間見られる展示の仕方にすっかり魅了されて大いに満足した。




さて、肝心の青い街並みはと言うと、あいにくの曇り空のせいか期待していたようないい表情を見せてはくれなかった。
しかし、視覚で涼しさを得るために、また蚊を寄せ付けないために青く塗られた家々を見ていると、心がすーっと落ち着いてくる。


もっとさまざまな角度から見てみたくて絶好のビューポイントへ向かうと、なんと映画の撮影のために立入禁止。
うれしいはずのサプライズが、このときばかりはちょっぴり恨めしく思った。
あぁ、青い街での感動は、いつかの再訪までおあずけかな。

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2009.3.20 ジョードプル / Jodhpur

Join the discussion 4 Comments

  • choki より:

    生「落下の王国」いいですね~。
    ホントうらやましいです。
    せめてもう一度特大スクリーンで見たい!と
    思えてきました。

  • HANA より:

    こんにちは。鎌倉より。

    うわ~。

    ステキ!!ステキな場所で、ステキな写真!!

    しばし仕事を忘れて見つめてしまいました。

    あつい?あつい??
    お酒はおいしいですか~?

  • マイキー より:

    うっわー。十分に青く見えます!
    ここも一度実際に見てみたいなぁ。。。
    日本語のオーディオガイドがあるということは、
    日本人観光客も多いんですね~。
    ところどころ青が濃いのは、「落下の王国」の監督が、
    住民にペンキを渡したからというのは本当なのかしら・・・?

  • かな子 より:

    ■chokiさん
    スクリーンでは観ていないので、ぜひ大きな画面で体験したいです。
    しかし……、実物より映画のほうがもっと幻想的かもしれない、という気もします(笑)。
    ■HANAさん
    あっついよー。
    今いるアーメダバードという街の最高気温は、36.6度。
    湿気がないから、思ったよりはなんとかなるけど、それでも日なたはじりじり暑い。
    そして、アーメダバードのあるグジャラート州は、なんと禁酒が法律で決められているのです(泣)。
    許可証をつくれば飲めるみたいだけど、こんな環境じゃ、私もHANAさんも暮らしていけないよね。
    ■マイキーさん
    日本語以外にも中国語やハングル、スペイン語にイタリア語など、確か8カ国語対応だったと思います。
    英語の苦手な我々には大助かりでした。
    そして……、青いペンキを塗ったという話も、あながちウソではない感じがしますね(笑)。

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