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DIYに燃える旅音家だが、なにせ不慣れなものでわからないことがたくさん。
壁にぶつかる度にネットで調べたり、ホームセンターで相談したりしていたが、もっと頼れる人が身近にいることを思い出した。

その人から指定された場所に向かっていると「ここ……、本当に登っていくの?」という一本道が目の前に。
薄暗い上り坂の未舗装の道は湿気も雰囲気もすごくて、その脇にある塗装が剥げて木肌があらわになった鳥居には草が生えていて、このまま行くと「千と千尋の神隠し」のような世界に迷い込んでこちらの世界に戻ってこられないのでは、と少々心配になる。しかも細くて急だ。
車はちゃんと登り切ることができるのだろうか。
心細い気持ちのまま、恐る恐るアクセルを踏む。

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緑のトンネルを抜けると視界が開けて、無事工房に辿り着くことができてホッとする。
訪れたのはアート系大工、なんて呼ばれることもあるインチャリさんの工房。
逗子のBeach Muffin(かつてはcoyaとして営業)、北鎌倉の喫茶ミンカ、辻堂のLAMA Coffeeなど、インチャリさんを知らずとも彼の手がけたショップに足を運び、おおっいい感じ!とその素晴らしい仕事ぶりに感動したことのある人も多いだろう。
そんな素晴らしいセンスの持ち主であるインチャリさんに相談がてら、工房を見学させてもらうことになった。

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工房には普段は見ることのない数々の工具、ストックしてある木材のほか、ウクレレやシンギングボール、さまざまな古いトランジスタラジオなど、多種多様なモノが溢れている。
ラジオをしげしげと見ていたら「何か流そうか?」とあちこちに点在しているラジオの電源を入れ、音楽をかけてくれた。

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インチャリさんが団長を務める「インチャリラジオ合唱団」。
といっても人間はひとりだけで、あとは個性派揃いのラジオたちというユニークなメンバー構成だ。
FMトランスミッターで電波を飛ばしてラジオから流すというもので、部屋のさまざまな位置に配されたヴィンテージラジオから丸みを帯びたアナログな音色が心地よく流れてくる。

音楽を聴きながらコーヒーをご馳走になりつつしばし談笑。
ひと休みスポットは工房裏の、大木が生い茂り、ヤマフジの太いツルが絡むジャングルのようなところ。
「ウブドみたいでしょ」とインチャリさん。
これから夏にかけて、工房にずっといると暑くて汗だくになるため、ときどきここで涼んでいるのだとか。
うらやましいなあ、このロケーション。

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あまりの居心地の良さにぼーっとしてしまい、肝心の用事を忘れそうになったが、いざ相談すると近くにあった木片をメモ帳代わりにさらさら書き留める。

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相談事はあっという間に解決。さすがである。
カメラを向けるとおどけた表情を見せてくれるインチャリさんだが、作業中の姿はとにかくかっこいいの一言に尽きる。
ますますファンになってしまった。

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※通常、工房の見学はできませんが、インチャリさんの仕事については下記のオフィシャルサイト、Facebookページにてご覧いただけます。

 

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