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気になるタイトルの本に出会った。

『翻訳できない世界のことば』

へぇ~、と思ってすぐさま図書館に予約を入れ、しばらく待ってやっと借りることができた。
この本には、ほかの国の言葉だと一言では言い表せない単語が100個以上並び、それを著者のエラ・フランシス・サンダースさんによる繊細な線のイラストと共に紹介している。

日本語からは「木漏れ日」、「ぼけっと」、「侘び寂び」、「積ん読」が登場。
木漏れ日に該当する言葉って本当にないの? と思い、ひとまず英語ではどう表現するか検索してみると、以下の通り、そこそこ長い文章になるようだった。

“sunshine filtering through foliage”
“a ray of sunshine filtering through the branches of trees”
“the light from the sun passing through the leaves of trees”

「木漏れ日」という言葉を、ステキだな、面白いな、と感じる人が海外にいる、というのがなんだかうれしい。
……と思いつつ、自宅の庭の木漏れ日を撮ってみる。

今度は反対に、日本語にはない、世界各地のユニークな言葉について。
インド南西部のトゥル語という言葉でKARELU(カレル)は”肌についた、締めつけるもののあと。”
美しいと感じたのは、ウェールズ語のHIRAESH(ヒラエス<ヒライスが正しいかも>)で、”帰ることができない場所への郷愁と哀切の気持ち。過去に失った場所や、永遠に存在しない場所に対しても。”

旅にまつわる言葉もある。
スペイン語のVACILAND(ヴァシランド)は”どこへ行くかよりも、どんな経験をするかということを重視した旅をする。”
スウェーデン語のRESFEBER(レースフェーベル)は”旅に出る直前、不安と期待が入り混じって、絶え間なく胸がドキドキすること。”
こんな内容を、たった一言で表現できたら素晴らしいけれど、その価値観を共有できる人が大勢いなければ、言葉としては成立しにくいのかもしれない。

中には、現地の人でも知らないものもあるらしい。
PISAN ZAPRA(ピサンザプラ)はマレー語で「バナナを食べるときの所要時間」とあるが、調べた限りだと「ネイティブだけど、そんなの知らない」と言う人もいて、全部が全部、生きた言葉ではない可能性もありそうだ。

この本のことを知った頃、アマゾンには2~3件程度のレビューだけだったが、いま見たら29件も(2016年7月1日現在)。
多くの人の心を動かしている『翻訳できない世界のことば』、旅音家も近々購入予定。

ここに出てくる言葉たちを、店舗名やイベントタイトルに使うのもよさそうだと妄想するものの、やはり、その国で実際に使われているのを見聞きした上で使わなきゃなあ、じゃあやっぱり旅に出ないとなあ、と思うのであった。
旅、まったくやめられる気配がない。

最後にお知らせです。
今月14日に代官山蔦屋書店で開催のトークイベント「育旅! 子連れにやさしいアジアの旅」。
ただいま絶賛予約受付中!
店頭、お電話のほか、オンラインでも申込ができます。
皆様のお越しを、心からお待ち申し上げます。

会期 2016年07月14日(木)
時間 10:00~11:30

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http://real.tsite.jp/daikanyama/event/2016/06/post-150.html

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