インド最北部、チベット文化が色濃く残るラダック。
そう聞いただけで「行ってみたい!」と旅心がうずうずしてくる、魅力的な地域のひとつだ。
ヒマラヤ山中、平均標高3,500mのラダックは、アーグラやヴァラナシなどバラエティに富む魅力を有するインドの観光地と比べてみても、同じ国の一構成地域とは思えないほど、文化・言葉・人種、あらゆる面で異なる。
同じものはルピー紙幣ぐらい、だろうか。
2009年、約5カ月のインドの旅で、たった10日間という短い時間をラダックで過ごした。
長い間憧れを抱いていた場所だったのに、ビザの滞在期限が迫っていたこと、スピティ地方でダライ・ラマ14世の法話があるという情報をキャッチし、それに行くためにはあまり時間がないことなど、どうしても長く時間をとれなかった。
わかっていたことだけど、10日間では全然足りなかった。
足を運んだレーとその周辺、ヌブラ谷、パンゴン湖は言わずもがなの素晴らしさだった。
でも、ラダックの魅力を新たに知れば知るほど、月世界のようなラマユル、花の民が暮らすダー、ラダック最深部のザンスカールへも訪れてみたくなった。
旅に出たことのある人なら、誰もが一度は感じただろう「もっと先へ、もっと深いところへ」、そんな思いを強く抱かせるのがラダックだ。
帰国してしばらく経った今だって、いつかは再訪したいと密かに願っている。
さて、そんな魅力あふれるラダックだが、日本を代表するガイドブックである『地球の歩き方』、そして世界を代表する『ロンリープラネット』、どちらもかの地に割かれているページ数は少ない。
我々が訪れたときも、紙の情報よりネットで集めた情報に大いに助けられた。
そのときに頼りにしていたサイトのひとつが「Days in Ladakh」。
ラダックで暮らしたときのこと、さまざまな地域を、なるべく地元の人が使う手段で訪れたことなどが、美しい写真とともに紹介されていて参考になり、帰国後にそれらをまとめた著書『ラダックの風息』を読んでラダックの思い出を反芻した。
後に、このサイトの山本高樹さんといっしょにトークショーをやることになろうとは、当時は思いもしなかった。
ついでにもうひとつ告白すれば、『インドホリック』の書籍化の際、P-vineで出せたらいいなと思ったのも、山本さんの著書がこちらから出ていたこともきっかけのひとつだったのである。
そして、山本さん待望の新作が、先月、ついに発売になった。
『ラダック ザンスカール トラベルガイド インドの中の小さなチベット』、なんと地球の歩き方gem STONEというシリーズから出ている。
全頁フルカラーでふんだんに写真が使われているので、写真集を眺めている気分に浸りながら読書スタート。
もちろんガイドブックとしての機能もバッチリで、読みやすいけれども丁寧な解説ありという、ラダックにこれから行く人にも、既にラダックを知っている人にも満足の内容だ。
「ラダックって気になるけど、行くのが大変そう」と思っている人に、とくに読んで欲しいなあと思う。
あと3年早く出版されていたら、我々の旅の内容も、インドホリックというよりラダックホリックなものになっていたかもしれない。
今、ラダックは観光のベストシーズン真っ盛り。
この夏どこかへ旅に出ようと思っている人には、ラダックも候補地として検討してみてはいかがだろう。
もしくは、今からラダック熱を高めておいて、来夏に準備万端で臨む、というのもよさそうだ。
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