Skip to main content


もしかしたら、今回の旅でいちばん豪勢なことをやったのかもしれない。
アーメダバード発、広大な塩の大地が広がる小カッチ湿原経由、見事な手仕事の工芸品をつくり続けるカッチ地方の少数民族の村を回り、ふたたび戻ってくるというプランを実現するために、2日間車をチャーター。
これなら自分たちのペースで好きなように回れて効率的、かつ満足度も高いはず。
それに、ロンリープラネットにも地球の歩き方にも、小カッチ湿原へのアクセスだとか、カッチ地方の村々に関する詳細についてのグジャラート州西部の情報がほとんど掲載されていなくて、ネットで検索してもヒットする件数は少ない。
調べてもわからないときは直接詳しい人に聞け、の精神で、アーメダバードにある政府観光局で相談してみた。


結果、カッチ地方の中心都市、ブジへはバスと電車が出ているものの、湿原に寄りたいのであれば車で行くのがベストという結論に至り、手配をお願いすることにした。
その後、紹介してもらった旅行会社のボスと、宿のロビーでもう少し詳しくプランを詰める。
どうやら1泊2日で希望が叶いそうだったので、戻ってきた日の夜にムンバイへ向かう列車のチケットを押さえて準備万端、のはずだった。
出発当日、これからお世話になるドライバーからよろしくのあいさつのあとに言われたのは、「日程がタイトすぎる」という一言。
ブジへノンストップで向かったとしても6~7時間はかかるし、湿原に行くならジープに乗り換えて朝か夕方の時間に行かないと暑すぎるし、少数民族の村へ行きたいならブジの警察署で許可証をつくってもらわないといけないからだそうだ。
とは言え、すでに次の予定を決めってしまったしな……。
ということで、湿原は2日目にして、まずはブジへ向かうことにしようという彼の提案するアレンジに沿ってオリジナルツアーがスタートした。
アーメダバードを抜けると、広い幹線道路が果てしなく延びる。
その両脇には等間隔に植えられた綿花が広がる畑。
そういやインド綿って有名だったな、と興味津々に車窓を眺めていたら、収穫作業中のグループを発見。
「写真を撮りたい」と言うと「見に行ってみる?」というドライバーからの提案で、車を降りて畑へ向かう。

珍客の訪問に皆恥ずかしそうにしながらも、写真撮ってよ、とキャーキャーにぎやかだ。
ぎらぎらの日差しの下、撮影しているときだけ一瞬止まるものの、それ以外は彼女たちの作業の手は休むことがない。
そして撮った写真を見せるとうれしそうにしながら、先ほどよりもずっといい笑顔を返してくる。

すてきな寄り道を楽しんで、ふたたび車を走らせると、周囲の風景が畑の緑から塩の白へと変わってきた。
またまた途中下車して、塩田を近くで見てみることに。

塩の山からひとつまみ失敬してぺろっと舐めてみると、あまり塩辛くはなくてマイルドな味。
ぐるっと360度を見回していると、家の手伝いをしている子供たちが近くに寄ってきて、この日差しに負けないまぶしい笑顔を見せてくれる。

寄り道する度にうれしい出会いがあるので、今度はいったい何が待っているのだろう、とわくわく期待してしまう。
次に車が停まったのは、道路沿いの小さな村の一軒。
ここは布を染料で染めたり、木版を使って模様をつけるブロックプリントの工房が集まったダンドゥカというところ。


家に招き入れてもらうと、さっそく作業の様子を見せてくれる。
CDケースほどのぶ厚い木製スタンプを、定規などのガイドもなしにポンポンと軽く、リズミカルに押していく。
みるみるうちに布全体が模様で埋め尽くされ、早くも2枚目に突入している。
機械を使っていないのにほとんどズレがないのはため息ものだが、ところどころ染料が濃かったり薄かったりするところに人の手のぬくもりが感じられて目に心地よい。



完成品をいくつか見せてもらうと、多色刷りで模様も贅沢に何パターンも使用しているものは確かに見事だけれど、さすがにこれを着こなすのは難しそうなので、ごくごくシンプルな生地を2メートル連れて帰ることにした。




本日の寄り道はこれで終わりにした、あとはひたすらブジを目指して走り続ける。
夕方、ブジに到着してからは我々だけで街中を散策。
2001年の大規模地震の跡はもうほとんどわからないぐらいで、街はインドのほかの都市と同じようににぎやかに活気づいていた。
地図も持たずにうろうろしていたら迷子になってしまい、通った道を行ったり来たりしていたら何人もの人が道を教えてくれたり、写真撮ってと話かけてきたり、人のよさがすごく伝わってくる。
せめてブジに1泊するぐらいの余裕を持ってもよかったなと、今更ながら思ってしまう。

さて、翌日には村々を回り、小カッチ湿原を見るという二大ハイライトが待っている。
今回のツアー、現時点でかなりの満足度だけれど、明日はどうなることやら。

大きな地図で見る
2009.3.27 ブジ / Bhuj

Join the discussion 4 Comments

  • 匿名 より:

    綿花って今もああやって収穫されるのでしょうか。
    インド綿の服とか、エスニック雑貨屋で安く買って着ていますが、なんだかありがたみが増した気がしました。労働の割に、ずいぶん安く買っているなあなんて。
    布ものも好きなので、今回の日記もワクワクしました。

  • ちゃき より:

    あーもうっ!やばい!
    めちゃくちゃ充実の旅ですね。
    みんなの笑顔が最高!
    すごく居心地のよさそうな街!
    インド綿の服はたくさん持ってるけど、こうやって作ってる人の様子が身近に感じられるのはとても嬉しい。
    もっと大事に着ようと思いますね。
    しかし、このブログを読んだ後に仕事に戻るのは辛すぎまっせ。。。

  • ガク より:

    そのドライブに便乗したかったよ!
    スゲー、スゲー羨ましい!
    林夫婦のおかげで次回行きたい場所ランキングでインドが急上昇中です。
    しかし残念ながら次の行く場所もどうやらタイになりそうです。

  • スミサト より:

    ■chokiさん
    いろんなところで綿を摘んでいる姿を見るんですよ。
    摘む段階では機械を使っているところは見たことがないです。
    1つにまとめられた後は、工場に運ばれているみたいですけどね。
    インド綿の洋服は日本でも安く手に入りますが、こちらではさらに安くて驚きます。
    ■ちゃきさん
    アジア雑貨屋とかで安く売られているもの、てっきり工場とかでガンガン作っていると思っていたんだけどね、
    あんなに丁寧に作られているとは思っていなかったから結構ビックリした。
    ちゃきさんの式はいつぐらいなんだろう?
    今のインドは酷暑期、そして次に雨期だから、少し先だとちょうどイイんだけどね。
    インドの多くのエリアは11月~2月がベストシーズンだよ。
    ■ガクさん
    後編は結構ガクさんにビビっと来る感じだと思いますよ。
    きっとガクさんだともっとたくさん、そして深く民族巡りをするんだろうなー。
    民族の方々がとにかくステキです!
    タイへはいつぐらいに行くのですか?
    タイで美味しいもの食べたい!

© Tabioto all rights reserved.