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大雨が降るたびに水があふれる雨どい。
長いあいだ放置し、変色してしまった軒先にしつらえた波板の屋根。
いつかは交換しなければと思いつつ、大変な作業になることは簡単に想像がついたので、見て見ぬふりをしてきた。
しかし、いつかはやらねば、と一念発起。
ようやく重い腰を上げ、作業に取り組むこと1週間。
毎日ぐったり、翌日にはひどい筋肉痛という、ハードで危険な作業を通して実感した、補修しながら暮らすことの大切さと愛しさ。



まずは古くなった雨どいと波板をはずす。
ところどころ腐ってしまった下地の木材にしがみつく、錆びに錆びた釘を抜いてい・・・きたいのだけど、途中で折れてしまって思うように抜けない。
しかも畳1枚分ほどの波板に打ちつけられている釘の数は約50本。
一気にはずせる手段はないかとあれこれ試したけれど、根気よく1本1本抜いていくのが最善最速の方法という結論に落ち着いた。
いちばん簡単だと考えていた取っ払う作業に費やした日数、丸2日。
無理な体勢で作業をしていたために、おしりや首など、珍しい部位の筋肉痛を体感することになろうとは思ってもみなかった。

次は外壁のペンキ塗り。
なかなか塗り替えるのが難しい場所だけに、丁寧に2度塗りしていく。
以前使っていたペンキよりワントーン暗めのものにしてみたところ、かなりシックな装いに。

ペンキが乾く頃合いを見計らって、骨組みの木材を補修。
すぐ経年変化で浮いてしまったり反ってしまった箇所の高さを調整したり、腐ったところは新しい部材に交換したり。
これもまた骨の折れる作業。
高さをぴしっとそろえたいところだけど、うまく水平になってくれない。
適当なところで妥協して、次の作業へ移ることに。
骨組みの上に乗って、波板を釘で打ちつけていく。
高いところは嫌いではないけれども、今や下がすっかり見えるようになった、すかすかの骨組みの上に乗るのはなかなかの恐怖。
しかも移動するたびに、ギシギシと鈍い揺れが起きて本当に怖い。
ヒヤヒヤしながら、まるでコマ送りのようなぎこちない動きで体勢を変えつつ、黙々と釘を打っていくこと数時間。
波板の交換作業、ほぼ終了。
あとは雨どいの取りつけだ。
雨どいを受ける金具を、一直線になるように確認しながら留めていく。
もともとの骨組みが水平ではないため、つける位置を少しずらしたり、新たに木材を継ぎ足したりしながら調整する。
ときには金具をはずす&再び留めるというのを繰り返して完了。

ところが雨どいを乗せてみると、どうもまっすぐになっていないようだ。
試しに水を流してみるが、真ん中あたりにたまってしまう。
よく見ると、金具と雨どいのあいだにうっすら隙間ができている箇所がある。
しかし、骨組みの部材ぎりぎりのところに取りつけているため、もう調整がきかない。
うーん、どうしたものか。
あれこれ悩んでいるうちに、雨が降り始める。
作業はいったんストップ。
それでもほぼ化粧直しを終えた我が家の外回りは、見違えるほどピカピカになった。
宮大工が建てたしっかりとした造りが自慢の、築50年になる我が家。
入念にチェックしていくと、傷んだ箇所がちょこちょこ見つかる。
さて、そんなときにはどうしよう。
お金を払って、プロに頼むか。
それとも自分たちでなんとかするか。
プロに頼んだほうが早くてキレイで、場合によっては安いかもしれない。
だけど、この家のたどってきた道やら歴史やら、そんな過去に触れられる機会を、人の手にゆだねてしまうなんてもったいない。
今では滅多に見られない、手仕事の冴える継手を見ながら、そう思う。
なんでもやりたがりの我々には、こうやって試行錯誤しながら手を加えていくのが性に合っているのだろう。
そうやってトンカントンカンやりながら、古くから伝わる、我々にとって新しい事柄を知っていくのが、なにより楽しい。

2008.3.20 鎌倉
by かな子

Join the discussion 7 Comments

  • sayaco より:

    おお!見違えましたね~!見事に!笑
    壁の色が変わるだけで、ずいぶん印象違いますね。
    DIYですね、自分たちでやる精神、大好きです☆

  • RYO より:

    いい仕事したねー。すごいねー。
    電車から見たのは、作業中のすみくんだったんだね。
    楽しそう。手伝わせて欲しかったよ。

  • かな子 より:

    ■sayacoさん
    自分の暮らしまわりは、できるだけ自分でやれるぐらいの、たくましい人間になりたいと常々思います。
    とくに旅から帰ってきてからは。
    もちろん、現代社会では限界はあるにせよ。
    今年は野菜づくりもまたチャレンジしたいな、と。←失敗して、放置した経験、多数あり。(笑)
    ■RYOさん
    RYOさんも駐車場(カーポート?)の波板張替したそうじゃないの。すごい!
    作業の最中はかなり言い合いになったよ。(笑)
    やり直しが大変なだけに、必死なんだよね、二人とも。

  • まつき より:

    力作ですなぁ☆
    なんぼ高いとこが平気な私でも、
    この上に乗るにはかなりの勇気がいるわ・・・
    プロに頼むと早くてキレイに出来るかもしれないけど、
    自分たちの手で直すといっそう愛着わくよね。
    かなづちをもっている手も、サマになってるよん♪
    今度はぜひぜひ、おいしい野菜を作ってくださいな^^
    まずはつまみの『枝豆』からとかw

  • かな子 より:

    ■まつき
    枝豆ね、採りたてのうまさったらないらしいよ。
    生でも食べられるぐらい、おいしいらしい。
    ただ、植える場所の大きさのこともあり、恐らくハーブ中心、あとはどうしてもチャレンジしたいトマトあたりになりそう。

  • かず より:

    おおっ!!!
    ボクのタバコスポット(そもそもそんなスポットではないけれど)が改修されたのですね。
    今度、お邪魔するのがますます楽しみになりました。
    んで、手土産は何が宜しくて?

  • かな子 より:

    ■かずさん
    タバコスポットだなんて!(笑)
    きちんと「濡れ縁(ぬれえん)」とか「ぬれぶち」って呼んであげて。
    手土産は、アルゼンチンの牛肉がいいなー。

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