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中南米の旅から帰ってきて、とくに多かった質問が「いちばんよかった国はどこ?」というものだった。
あの国もいいけど、この国も捨てがたい……、と回答には結構悩むのだが、もし「いちばん住みたい街はどこ?」と聞かれたら即座に頭に浮かぶところがある。
それは、アルゼンチンのブエノスアイレス。
ワインと牛肉が抜群においしくて、古くからの文化の香りがあちこちで感じられ、なおかつ新しいファッションやデザインにも敏感で、とにかく活気に満ちた街。
治安も南米の中では比較的いいということもあり、連日朝から夜遅くまで歩き回って楽しみ尽くした。
ここなら腰を据えてゆっくり街と向きあって暮らしてみたい。よくそんな風に思ったものだ。

帰国後、『中南米スイッチ』とほぼ同時期に出版され、アマゾンでもセットで購入することをオススメされているブエノスアイレスにフォーカスした一冊と出会った。
ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』というタイトルのその本には、懐かしいブエノスの雰囲気とまだまだ知らない奥の深い魅力がたっぷり詰まっていて、本棚のすぐ目につくところに置いては気になったときにパラパラめくっていた。
その著者であり旅とリズム主宰の栗本斉さんと、twitterがきっかけとなってお会いする機会に巡り合わせた。


さかのぼることひと月前。
twitterで共通の友人とつながっていることが判明し、当事者であるブラジル音楽レーベル主宰のNRTの提案により、近いうちに集まろうという話が浮上。
せっかくなら旅とリズム、そして旅音のコラボレーション的な集いとして、旅・音・鎌倉などをキーワードに友人知人を集めてホームパーティーを開催しようという話になった。
その名も、旅おとリズム!
パーティー当日。ポットラック形式のため各自が手料理やドリンクを持ち寄ることになっていたのだが、会場であるNRT邸のテーブルにはすでにご馳走の数々がびっしり並んでいて、見た瞬間、早くもおなかがぐぅーっと反応してしまう。

しばらくすると栗本さん一家がいらしたのでごあいさつ。
エクアドルで知り合ったという奥様とも会話を交わし、いろいろ話しているうちにお互い「あれ?」と思い始めた。
初対面のはずの奥様のことを、旅の最中に間接的に知っていた、気がする!
『中南米スイッチ』P.66に登場するエクアドルの長寿村ビルカバンバにあるLE RENDEZ-VOUSという宿にチェックインした際「日本人の友人が近くに住んでいるのだけど、彼女のことを知ってる?」と尋ねられた。それが栗本さんの奥様だった。が、残念ながら知り合いではなかったので知らないと答えて一旦話は終わったのだが、まだこの話には続きがある。
とても素晴らしい宿だったので、ゲストブックに日本語でメッセージを残してチェックアウトし、ふたたび移動移動の日々が続いた。それからしばらくしてLE RENDEZ-VOUSに遊びにやってきた奥様がたまたまそのノートを見て、それがきっかけでブログにコメントをくれたということを、おぼろげながら思い出してきた。
なんたる接点。思わず鳥肌が立ってしまった。

その後も続々とゲストがやってきては好きなように食べたり飲んだり、隣にいる人と話をしたりと、それぞれが気ままに過ごす。
NRT邸の開放的で居心地の良い雰囲気というマジックのためか、はたまたおいしいものが目の前にあって気分が高揚するからか、初対面同士でも気負わずに楽しく会話ができるから不思議だ。
ここで本日二度目の驚きが。
orange pekoeのおふたりがNRT、栗本さんの知り合いということで来ていたのだけど、またまた衝撃の接点について聞かされる。
『中南米スイッチ』を、てっきり栗本さんの著書だと思って購入していたらしい。
旅で音で南米。確かに扱うテーマもかぶっているから、勘違いをしてもおかしくはない。
また、かつてブラジルを旅したときに『中南米スイッチ』P.141に載っているゴムの樹液を採取するおじさんの一家と仲良くなってしょっちゅう遊びに出かけていたというではないか。
そのとき、彼の息子と触れ合ったことがきっかけで生まれた曲があるという。

この曲を聴いているとおなかの中でチビオトがボコボコと元気に反応するのは、何かしらのつながりを喜んでくれているからだろうか。

ほかにも久々のうれしい再会あり、新たなご縁ありですっかり盛り上がってしまい、いつの間にか外は真っ暗。
そろそろおいとましなければと思いつつも、あまりに楽しくて帰りたくないなあという気持ちをどうにかこうにか押し込めて20時過ぎにやっとこさ引き揚げることに。
帰り道ではしつこいぐらいに「今日はすごかったね、楽しかったね」と言い合い、濃密で充実したひとときを振り返りながら、素晴らしい出会いの数々に何かに引き寄せられたのではと思ってしまう、そんな一日だった。

Join the discussion 4 Comments

  • futoshi より:

    すごい偶然!!というかやっぱり必然ですね。
    旅にでていると出会うべくして出会う人や出来事が多いですよね。それがすごいつながりを生んだり。
    この日記を読んでますます一期一会の出会いを大切にしたいな~と思う今日この頃です。

  • スミサト より:

    ■futoshiくん
    旅先での出会いはイイよね。
    まず旅っていう共通項目が既にある訳だから、話が盛り上がりやすい。
    他にもPC、カメラとかの持ち物や、行き先についても話せるから日本よりも遙かに出会う人と話しやすい。
    帰ってきてからもイイ関係が続いてる人多いよ。
    ホント、1つ1つの出会いが大事!

  • yuuko より:

    中南米スイッチ、書店で拝見させていただきました。画像も綺麗で特にエクアドルの記事に惹かれました。ビルカバンバのLE RENDEZ-VOUSっていい宿なんですね。将来ぜひ行きたいと思います。

  • スミサト より:

    ■yuukoさん
    中南米スイッチをお読み頂きありがとうございます。
    LE RENDEZ-VOUS、エクアドルに行く機会があれば、ぜひ訪れてみてください!

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