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羽田空港にいる。
そして、まもなく出発の時を迎える。
都合上、海外へ行くのが毎年この時期になってしまうのだが、インフルエンザや胃腸炎の流行を告げるニュースにビクビクしながら数日過ごし、なんとか無事にここまで来たと思いながらフライトを待ちわびている。

チビオトを連れての旅先は、移動や時差の影響が極力少ないようにと4年連続で東南アジアにしていた。
でも、これまでの経験を踏まえるともう少し遠くまで行けそうだと思い、今年は気分一新、別の大陸へ向かう。

19年前の大学2年の頃、スペインから日帰りで訪れたモロッコのタンジェ。
ヨーロッパから初めてのアフリカ大陸への移動は船でわずか2時間足らずだったにもかかわらず、風景が一変した。
馴染みのあるアルファベット表記からまったく読めないアラビア文字に、女性はカジュアルな服装から全身を覆って目しか出ていない姿に、アスファルトや石畳の道から土の大地に。
迷路のようなスークを歩き、ベンツのエンブレムを取り付けたボロいタクシーや偽物のエアマックスを目にして、騙されてまともに音が出ない壊れた太鼓を購入し、やる気のないベリーダンスを見ながらおいしいミントティーを飲み、ラクダにまたがり、買う気なんて一切ない絨毯を冷やかして、それからスペインに戻った。
ヨーロッパや日本とはあらゆるものが違い過ぎて、とんでもないところに足を踏み入れてしまった、異世界に来てしまったと、とにかく衝撃を受けた。

あのときの印象が強烈で、それ以降、先進国から開発途上国へと旅先をシフトすることになった。
モロッコは旅の興味のベクトルを変えた、旅音の原点といえる国なのだ。
実家に眠っていた写真を見ながら、もうすぐ再訪が叶うんだと静かに興奮しつつ、それではいってきます。

19年前、それ以降の旅を大きく変えた地。

Sumisato Hayashiさん(@tabioto)が投稿した写真 –

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