愛知 飛行機三昧の旅① ドリームリフターとフライト・オブ・ドリームズ

2019/04/19
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チビオトの春休み中、どこかに行きたいなあという話になった。
今年も海外に出かけるつもりなので、なるべく予算は抑えたい。そして、どうせ行くなら息子はもちろん、親である私たちにとっても面白いと思えるところがいい。

相談を始めて10分後、行き先が決まった。
愛知に行こう。
青春18きっぷで。

チビオトが生まれて初めてハマったものは、はたらくじどうしゃ。2歳からはずっと鉄道一筋。そして、カリブ海周辺の海外取材タイへの家族旅行が重なった6歳の終わり頃には、飛行機に夢中になった。
エンジン音が聞こえると、急に立ち止まって空を見上げ、「双発機だ!」「おお、4発機!!」「ドルニエ(小型航空機のメーカー)か」と言い当てるように。ときには、尾翼の色でどこの会社かわかることもあったらしい。
(らしい、と言うのは、はるか上空を飛んでいて、メガネ着用の両親にはまったく見えないからだ)

ただ、飛行機への興味を持続させるのは難しいと、ほどなくして感じるようになった。
鉄道と違って気軽に乗ることはできないし、見るだけといっても空港が近くにない。子ども向けの書籍やDVDも少ない。
飛行機特集の古雑誌を買ったり、羽田空港の展望デッキに行ったり、ANAやJALの工場見学に出かけたりもしたが……。電車よりも触れるチャンスが少ないためか、次第に気持ちが冷めていった。
ふたたび熱が高まるきっかけになったのは、昨夏に旅したギリシャへのロングフライト。
やはり実際に乗るのがいちばん!ということか。

それから半年が経つが、そのあいだに、とっても気になる施設がセントレア(中部国際空港)のすぐそばに完成していた。
「ドリームライナー」の愛称を持つボーイング787の初号機が展示された新複合商業施設、「FLIGHT OF DREAMS(フライト・オブ・ドリームズ)」だ。
チームラボによるデジタルコンテンツが楽しめたり、ボーイング創業の地、シアトルをイメージした飲食エリアがあったりと、博物館プラスアルファの面白そうな場所だと思った。

愛知なら頑張れば日帰りで行ける。といっても、そんな強行スケジュールは現実的ではないからまあ一泊はするとして、近場と遠出の中間ぐらいのおでかけ候補地としてよさそうだと思い、メモをしておいた。

……と、こんないきさつがあって、「愛知だ!」と(ほぼ)即決したのだった。
そして、計画を練り始めたら、愛知にはほかにも飛行機にまつわるスポットが多いことがわかり、現在の旅音ファミリーのツボを突きまくるナイスな旅先だと確信した。

青春18きっぷを利用して3人で出かけるのは初めて。
夜が明け始めた頃に鎌倉を発ち、4度の乗り換えを経て名古屋に到着したのは、家を出てから約6時間後だった。
時間はかかるけれど、道中はちっとも苦にならず。むしろ快適で小学生ともなるとひとりで本を読んで静かに過ごせるので、ここぞとばかりにそれぞれが読書タイムを満喫できて大変よかった。しかも、車内でうれしいニュースをキャッチして、幸先のよいスタートを切った感がある。どんなニュースかはまた改めて。

フライト・オブ・ドリームズへは、セントレアを通過して向かう。ここで手荷物カートを拝借。搭乗するわけでもないのに、と思われるかもしれないが、案外距離があるので使ったのは正解だった。楽ちん。
3Fにあるメインエントランスから、エスカレーターで1Fまで下っていくのだが、途中で見えた787の姿に、一同「おおーっ!」
でかい。近い。2Fのフードコートに翼がはみ出ているのがヤバイ。

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さて、どうしてここに記念すべき787の第一号が展示されているのか、というと……。
中部地方では航空機産業が盛んで、主翼や胴体の一部など、787で使われている主要部品の約35%がこのエリアで製造されたもの。
生産に寄与しているということで、2015年にボーイング社から栄えある試験飛行第1号機が寄贈されたのだ。
実際に空を飛んでいた機体が、手を伸ばせばタッチできそうな近さで見られる幸福よ。

実機が置かれているのは、1Fの「フライトパーク」という有料エリア内。さっそく入場ゲートをくぐる。
最初に見学したのは、ボーイングのエバレット工場(世界最大規模の航空機組立工場)での作業の様子が映し出される「ボーイングファクトリー」。製造ラインを俯瞰して見られるから、実際の工場見学よりも作業の全体像をつかみやすい。

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さまざまな色のレーザーの飛び交うスペースに、自分で折った紙飛行機を飛ばす「奏でる!紙ヒコーキ場」は、チビオトがいちばん面白がっていた場所。紙飛行機がレーザーを通過する際、光の色が変わったり、音が鳴ったりと、何かしらの反応があるのは確かにうれしい。遠くまで飛ばせられれば変化の度合いが大きいとあって、何度も折り直して調整するなど、工夫を重ねていた。

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「お絵かきヒコーキ」は飛行機の塗り絵をスキャナーで取り込むと、その飛行機がドーム空間内を飛び回り、さらに専用タブレットを使って操縦までできちゃうというもの。楽しくないわけがない。

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30分おきに始まるプロジェクションマッピングのショー、「フライ ウィズ 787 ドリームライナー」は、1Fの展示フロアにいるままでも楽しめるけれど、全貌をつかむためには4階観覧エリアから眺めるのがよさそうだ。花火やくじらの映像が流れた途端、階下では子どもたちがキャーキャーいって追いかけ回すという、微笑ましい光景が繰り広げられる。

見て楽しい上に、体を動かして遊べるとあって、チビオトはせわしなくあちこち歩き回っている。放っておけば閉館時間まで余裕で過ごせそうだけれど、一旦、退場することに。

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向かった先は、セントレアの展望デッキ。
もうすぐ、国内ではこの空港でしか見ることのできない大型特殊貨物機「ドリームリフター」が着陸する。その姿を、どうしても見たかったのだ。

太い胴体が特徴のドリームリフターは、787の部品を、シアトル郊外にあるエバレット工場に運ぶ役割を担っている。
世界にたった4機というレアな飛行機で、アメリカ国内の数カ所とイタリア、そして愛知の間しか運航していない。

愛知行きを決めたからには、確実に見られるかどうか事前に知りたかった。しかし、運航スケジュールは当日までわからないとのこと(以前は発表されていたらしいが)。2日に一度ぐらいのペースで来ているから、たぶん大丈夫だろうとはにらんでいたが……。
今回、愛知に向かう電車の中でドリームリフターが向かっているという情報をキャッチして、小躍りしたのは言うまでもない。

ドリームリフターを撮影するなら、展望デッキの先端部を狙え――。セントレアのオフィシャルサイトにそう書いてあるのだから、もちろんそれに従う。
行ってみると、ドリームリフター狙いと思われる同志たちがすでにスタンバイ中。待機中はひたすらスマホを眺めて時間つぶし……ではなく、「Flightradar24」という運航状況がリアルタイムにわかるアプリを見て、到着時間を確認しているのだ。

一斉に左の方向にレンズを向ける。そろそろのようだ。
遠くから光が見えて、徐々に近づいてくるのがわかる。
その姿をしっかり確認できたぞと思ってまもなく、白い煙を上げて滑走路に降り立った。

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それからはウイニングランよろしく、ゆっくりと滑走路を進むドリームリフター。スターを追いかけて、ずっと写真を撮り続けるギャラリーの私たち。

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強風が吹く中、ただひたすら待つのはなかなか大変だってけれども、今回の旅の大本命に出会えた瞬間は、ぞわっと鳥肌が立った。チビオトもマイカメラを構えて何枚も撮ったあと、「いやー、すごかったねえ」と興奮気味。

家族全員が同じ趣味を持つと、最高に楽しい。

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