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その土地のおいしいものを食べることは、旅の楽しみのひとつだ。

メキシコ南東部にある、先住民が多く暮らすオアハカの街を訪れたとき、絶対に食べたいと思ったものがあった。
それは、オアハカチーズ(ケソ・オアハカ)。
日本で売られている「さけるチーズ(ストリングチーズ)」の原型といわれている。
オアハカを訪れたことのある人が、口々においしいおいしいと言うほどだから、これはかなり期待できそうだぞ、と思いながら市場へ探しにいった。
そして、意外とあっさり見つけることができた。

水を張ったたらいの中に入って量り売りする店もあれば、すでに袋に入れた状態で、値札を貼って販売しているところもある。
ひとつ買ってみて、しげしげと観察。
ボールのように丸めた状態になっているが、よくよく見ると細長いチーズをぐるぐる巻きにしてあって、こぶさあ、食べてみるか。

「お、おいしい……!」

ほどよいミルクの風味と、絶妙な塩味。
味はモッツァレラチーズに近く、あっさりしていて、そのままでも食べやすい。
固まりをガブッとすれば弾力があって食べごたえがあるし、細く裂いて食べればふんわりとした食感が楽しめる。
この衝撃の出会い以降、連日チーズを買いにいき、むしゃむしゃ食べまくる日々が続いた。

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オアハカの市場にて

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オアハカの市場にて

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宿まで我慢できず道端で食べる。

帰国してから、通販でなんでも買える時代だから入手可能だろう、と思って探したものの、どこにも売っておらず。
どうやらオアハカチーズは新鮮さが命のようで、遠い日本まで運ぶあいだに品質が落ちるから輸入されていない、とかなんとか。
たびたび思い出して検索しては、ああやっぱり買えないんだ、と、がっかりする日が続いた。

それが先日、ついに、見つけたのだ!
ツイッターを流し読みしていたときに、日本で手に入れた人を。
「カサナチュラル」というメキシコ食材の輸入・販売をする会社が仕入れていることがわかり、さっそく注文した。

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到着したチーズは真空パックの冷凍品で、冷蔵庫でゆっくり解凍してからお召し上がりを、とのこと。 ↓ 以下の通り訂正 2016.11.11
到着したチーズは真空パックの冷蔵便で到着した。
長期保存の場合は冷凍も可で、その場合、冷蔵庫でゆっくり解凍してからお召し上がりをとのこと。
はやる気持ちを抑えて、指示通り冷蔵庫に入れて待つこと約半日。
さあ、開封だ!

ほどきながら、裂きながら、「そうそう、この感じ!」と、オアハカで初めてチーズに触れたときの感触を思い出した。
そしてパクッと口に入れたら、ああ、おんなじ味だ!
一度冷凍しているためか、市場で売られているフレッシュなものと比べると、オアハカチーズ特有のモチモチッとした弾力は弱いが、それでもおいしい。
食べきれなかった分は、トルティーヤの皮にハムといっしょに乗せて、カリッと焼いてから食べた。これまた美味。

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オアハカチーズについて調べていたら、製造過程の動画を発見。
お湯で温めてやわらかくなったチーズを引っ張り、折り畳んで、お湯につけてまた引っ張って……、というのを繰り返し、ちょうどいい太さになったら冷水につけて固め、丸めて完成、らしい。
それにしても、職人の表情を見ているとチーズを作っているというより、筋トレに励んでいるように見えてくる。

重労働の末に出来上がったオアハカチーズ、心していただきます!
(↓で購入可能。入荷数がそれほど多くないのか、すぐに売り切れてしまうので注意)

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