あれ?
こんなにあっけなく終わったの?
という具合に幕を閉じた大型連休の冬休み。
遠出することもなく、ひたすらごちそうに舌鼓を打ち、昼からお酒をたっぷり飲んで、
あとは見るともなくテレビを見続け、夜にはまた豪勢なごはんにビールにワイン。
大したことはなんにもしてないが、意外とこういう「のんびり」って普段の生活では難しいから、
完全に心をゆるめきった過ごし方でリフレッシュできた気がする。
そして、ぽつぽつとイベントも忘れずに。
予定がたっぷり詰まっているときよりも、心にしっかり残ったかもしれない、今回のお正月。
ここ最近の恒例となっている、大晦日の除夜の鐘。
毎年決まったお寺で、という信条があるわけではなく、気のおもむくままに出かけている。
今年は家の近所にある妙法寺で、と思って目の前までいってみたが、
中から鐘の音が聞こえるものの一般客には開放していないようで門は閉じられ真っ暗。
そこで、妙法寺近くにあり、一度も訪れたことがない安国論寺で迎えることにした。
境内の正面にある本堂の脇に見える、点々とともる灯りが上へ上へと続く。
聞こえてくる鐘の音も、上から降ってくるよう。
どうやらお寺の裏山に鐘があるようで、灯りにしたがい登っていく。
少し息が切れ始めた頃に行列が見えて、その列に加わりひと休み。
番号札を渡されて見ると、78番と79番。
煩悩の数未満だから、無事に突くことができそうだ。
順番が近づいてきたのに緊張せずにいられるのは、
鐘のそばでお世話する人たちのなごやかムードのおかげだろうか。
「靴を脱いでここにいると、結構寒いんだよね」とかなんとかおしゃべりをしながら、
鐘の先にくくりつけられたロープを適度にゆるめたり引っ張ったりして、
1年に1度しか鐘を突かないだろう一般客のお手伝いをしている。
我々の番が回ってきたので、かばんを置いて靴を脱ぎ、スタンバイ。
前々回は弱々しい音が周囲に響いて恥ずかしい思いをし、
前回はその教訓を活かして思いっきり突いたら、ものすごく大きい音が鳴り響いて驚いた。
さて今年は……、と思ったら、無意識に遠慮してしまったのか、なかなかの頼りない音だった。
その後ゆっくり下って、本堂の中に設置されたホットカーペットに座って、ふるまい甘酒をいただく。
甘すぎずちょうどいい味の甘酒を飲んでいたら、思わずそのままうたた寝してしまいそうに。
うっかり眠くなると不機嫌になる私の正体をよーく知っているご主人に引っ張られて、お寺を後にした。
年が明けた2日の朝。
いそいそと小坪漁港へ向かう。
目指すは人生初の体験となる、みかん投げ。
普段はそれほど歩行者が多くない通りに、ぞろぞろとたくさんの人が歩いている。
到着したのは10時より前だというのに、すでにスタンバイをしている人の多いこと。
頭の上にスーパーの袋を広げて待ち構えている。
トラックの上にいる猟師さんたちによる新年のあいさつが手短に行われ、
ほどなくしてみかん投げ、スタート!
予想以上の激しさに、一瞬ひるむ。
みかんは容赦ないスピードで頭上を飛んでいくし、
それを逃すまいとみかんに群がる人たちの必死さもかなりの脅威。
待て待て、大漁と安全を祈る神聖な儀式じゃないのか!
押し合いへし合いになったら小さな子供なんて危ないだろう……、と思いきや、
下に落ちたみかんをちょこまかと器用に拾っている。
まったく、たくましい。
キャッチすることも拾うこともできずに終わった。
と思ったら、投げる場所は1カ所ではなく、今度は船から、それが終わればまた別の船、
というように順繰り投げられるようだ。
我々も併せて移動し、今度はひるむことなく合戦に混じっていく。
単品のみかん以外にもお菓子詰め合わせや、武器にもなりかねないみかんビニール袋詰めというのまで飛んでくる。
キャッチするほうもするほうで、スーパーのカゴや虫取り網持参、
はたまた本物のグローブをつけてがんばっている子もいた。
ようやくみかんをキャッチでき、なんとか数個ずつ手に入れられた。
ほかの船ではまだみかん投げが続いていたが、我々は満足したため前線から離脱して、遠くから見守る。
真っ青な空に、色鮮やかな大漁旗がよく映える。
うっすらと汗をかいた体を、おだやかな風が冷ましてくれる。
まったくなんの根拠もないけれど、なんだか今年はいい年になりそうな予感がした、
素晴らしいお正月の出来事だった。
2009.1.6 逗子
by かな子
いやぁ素敵な写真。
冬にくっきり見える富士山は本当に素晴らしいよね。
写真から小坪の匂いがぷんぷん匂ってくる。
里心くすぐられてます。
■タコ市長
日本の冬の空の色も、捨てたもんじゃないよね。
今回のお正月は連日、本当に気持ちよく晴れました。
残念ながら、タロちゃん(猫小屋の表札はタローちゃんに変わってた)は不在だったよ。
素敵なニッポンのお正月を迎えたんですね。
鎌倉で除夜の鐘をつく。
いいなあ。
■chokiさん
そうですね、今回はゆっくり過ごせました。
おかげでのんびり癖がついちゃって、おせちの仕込みのお手伝いをサボってしまいました(笑)。