訪れたのは2009年8月。
雨季で蒸し暑い中、寺院に参拝したのを覚えている。
そして、食堂での配膳係と片付け係の見事な連携プレーに感嘆したことも。
ナレーションも音楽もなく、淡々と黄金寺院での日常をカメラが追っていく。
老若男女入り混じったボランティアの人たちが、ただひたすら目の前の仕事をこなしていく姿が映し出されるのみ。
だからといって退屈な感じはない。
手間暇をかけて運営しているのが別段美化されるわけでもなく、普段通りに物事が進んでいくのを邪魔しないように追いかけるシーンの連続だから、嘘っぽさがなくて見入ってしまう。
ときどきステンレスの食器がガチャガチャいう音、作業している人の脇でサボっている人、仲間とふざけあうシーンなど、インドの旅でしょっちゅう見たり聞いたりしたような光景が出てきて、思わずにやり。
毎日10万食を用意する食堂の舞台裏にはもちろん驚いたが、人種、性別、階級、宗教に関係なく、同じ場で同じものを無料で食べられることが、開始当時は相当画期的だったに違いない。
今では当たり前になっている無料食堂での毎日だが、ラストの字幕を見てハッとした気分にさせられるのだった。
やさしい味わいの心にしみる食事、いつかまた食べにいきたい。