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代官山蔦屋書店の旅本コーナーでコンシェルジュをされていた森本剛史さんのお別れの会「旅をした人」に参加した。
在りし日の森本さんの映像が壁に映し出される中、終始なごやかな雰囲気の、楽しい集いだった。

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森本さんに初めてお会いしたのはいつだったろう?
ずいぶん前に知り合った気でいたが、調べてみたらわずか2年と少し前のことだった。
代官山蔦屋の名物コンシェルジュとしてオープン当初から話題の方だっただけに、一方的によく知る存在だったからかもしれない。

旅音にとっては“旅”と“本”という世界で活躍する大先輩だった。
でも、いざ話してみると大変気さくで、たっぷりおしゃべりした後に「鎌倉にも遊びにいくよ」なんて言ってくださった。
とはいえ多忙だろうし、まあ口約束だろう、ぐらいに思っていたら、ほどなくしてお店が休みの日に本当に鎌倉までやってきた。
いっしょに夕飯を食べることになり、お店に向かっている途中で、何屋かわからない不思議なたたずまいの一軒の前で立ち止まると、迷うことなく中に入っていった。
そして店内をさらっと見回し、「これはいいものだ」と言って中古の帽子を購入。
いいものを見つける確かな目と、優れた行動力と決断力にとにかく驚かされた。
お別れ会の会場に置かれていた帽子を見て、このときのことを思い出した。
森本さん、帽子好きだったな。

企画・編集・撮影を担当した『亀時間』の企画が通ったとき、版元を出てまっさきに報告しに向かったのは森本さんのところだった。
「おお、よかったねえ」と喜んだあと、次々とアイデアを出しながらアドバイスしてくれた。
ほかに、旅音が温めている企画の話も相談したところ「売れないけれど、やる意義はある」と即答。
売れる、売れないが最重要事項の昨今だが、この言葉を胸に、これかも活動を続けていこう。

現在、蔦屋代官山書店では森本さんの特設コーナーが設置されている。
そこにはご自宅の本棚を再現した棚、彼が選んだ旅の本10冊、そして『撮り・旅』で紹介していた旅と写真の本10冊が並ぶ。
いっしょに本を作ろうよ、イベントをやろうよ、という森本さんからの提案が実現する機会はなくなってしまったが、『撮り・旅』という一冊で大先輩といっしょに名前を残せたことは誇りに思っている。

WE RESPECT 森本剛史!

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