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毎年恒例の青森行き。
今年は青森まで開通したばかりの新幹線はやてに乗って帰省したが、乗り換えなしで時間も短縮、なおかつ新駅が妻の実家に近くなったということでうれしいことづくめ。
また、今回利用した「ふるさと行きの乗車券」という切符、これが非常にお得で、おまけにちょっとした旅まで楽しめてしまった。


今年の「ふるさと行きの乗車券」はすでに販売終了しているが、ここでざっと説明を。
列車での年末年始の帰省を応援するというJR東日本発行の切符で、
秋田・青森エリアだと通常の往復乗車料金が17,760円のところ、この切符だと11,400円で6,360円もお得になる。
別に特急券を購入すれば新幹線にも乗れるし、有効期間が1週間あるのでゆとりのあるスケジュールも組めるし、さらにフリーで乗り降りできる区間が設定されているので帰省だけでなく旅にも最適。
せっかくだからチビオトも連れて冬の青森を満喫したかったけれど、乳児にはこの寒さは厳しいだろうということで、今回はひとりで青森を楽しんでみることに。
どこに行こうか思いを巡らせていると切符に掲載された地図に読み方のわからない地名を発見、それが「三厩(みんまや)」だった。
不思議な響き、そこはかとなく漂う辺境の地の雰囲気。
何があるかもよく知らぬまま、三厩に行くことを決めた。
津軽半島の先端にある三厩への直通列車は1日たった1本という不便さ。
まあたっぷり時間はあることだから、途中駅の蟹田までは特急電車で向かい、少し散策してから三厩行きに乗り換えることにした。

蟹田を出て40分、終着駅という佇まいの三厩に到着。
ここからはバスに乗り換え、最果ての竜飛崎を目指す。

運賃が先払いかどうかを尋ねると「どっちでもいいんです。本当は後がいいんだけど、おじいさんとか忘れちゃうから。みんな知り合いだし」。
見知らぬ人は、イコール観光客ということらしい。
途中の停留所ではこんなこともあった。
「今ほかの人たちも来るから少し待ってください」と話すひとりの男性。しばらくすると小学生たちがあわてて乗ってきた。さっきの男性は先生だったのだろうか。
小学生はみんな「お願いします」と言ってバスに乗り込む。
さらに降りるときには「ありがとうございました」と言うのを忘れない。
「都会じゃこんなことないでしょ? でも待ってあげないと」と、運転士は話す。

バスは海沿いの道を行く。
終点の龍飛漁港で降りたのはたったの4人。
下車したところには案内も何もなかったが、新青森駅で入手したパンフレットに載っている地図をもとに進んでいくと、かねがね噂に聞いていた国道339号線へと辿り着いた。
全国でもここだけという階段でできた国道の成り立ちは諸説あるようだが、現地で確認せずに地図だけを見て国道と設定したという説がポピュラーなようだ。
この階段を登って、竜飛崎の灯台へ向かう。いっしょのバスに乗っていた人たちも同様に。
数メートルの積雪量と猛吹雪の中に立つことを期待していたのに、積もっている雪も少なくたまにちらつく程度だったのが惜しい。

おでんを出している土産物屋で話を聞いてみたところ、こんなに雪の少ない正月は何十年ぶりで、いつもなら吹雪いている時期だけど今日は天気も良く穏やかだという。
そしてもうひとつ、気になっていた質問をする。
それは三厩でもマグロが捕れるそうだけど、あの大間のマグロと同じものか、ということ。
結論から言うと、漁場自体が近く、大間の漁船も許可を取って三厩まで来るため同じだが、引き上げられた場所によって大間のマグロ、三厩のマグロと名前が変わるため別物扱いになるらしい。
築地ではキロあたりで1,000円近く変わるそうだ。
土産物屋を出て灯台へ向かうとさらに天気が良くなり、対岸に一面雪景色の北海道が望めた。
津軽海峡冬景色の歌碑を見たら来た道を戻り、一路青森へ。


同じバスに乗っていた鉄道マニアの大学生にいろいろレクチャーしてもらいながらの帰路は、これまた楽しい時間だった。
綿密な計画なしの思いつき日帰り旅行は、たくさんの「なるほど」を得て幕を閉じた。
思い立ったときにふらっと出かけるフットワークの軽さを忘れずに国内を旅するのもいいな、と思える旅だった。
2011.1.4

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Join the discussion 8 Comments

  • fukita より:

    電車とバスを乗り継いでいく三厩、すてきですね。地元に住んでいるとなかなかそういうことができない。
    写真もステキです。楽しませてくれてどうもありがとうございます。

  • スミサト より:

    ■fukitaさん
    バスのタイミングさえあえば、蟹田からずっと海岸線をバスで行きたかったのですが、電車とタイミングが合わなかったのと、本数が少な目なようなので難しそうでした。
    またいつかチャレンジしたいです。
    地元だと、車で行ったり、もしくは行かない、ということになりますよね。
    僕も鎌倉周辺だと、バイクか車で行ってしまいますが、違う手段で訪れるのも楽しいだろうなーと思います。

  • まつき より:

    スミサトさんの腕にかかれば、三厩も蟹田もすごく風情のある風景に見えてしまうから不思議です。
    地元にいたときはついつい車で行ってしまいましたが、北海道に住んでいる今、改めて公共機関で行ってみて、対岸から北海道を眺めるのも良いかも!と思わされた記事でした。

  • スミサト より:

    ■まつきさん
    僕が地元の人じゃないからでしょうねー。
    これが日常の景色だったら、見慣れちゃって撮らないですから。
    鎌倉からすると、やはり非日常感がたっぷりあって楽しめました。

  • かず より:

    おおっ!!三厩っ!!!
    この辺りはまだ行ったコトがないんで、いつか行ってみたいな~と思っているんですよね。五所川原や大畑には行ったコトがあるんだけれども。
    鉄道の便がそんなによくないから、つい億劫になるんだけれども。青荷温泉とセットで行ってみたい場所。
    あ、あけましておめでとうございます。
    今年こそ、チビオトに会いに行きたい(と思ってます)…

  • スミサト より:

    ■かずさん
    おぉ~、ご存知で。
    大畑って初めて知ったな、横浜町なんだね。何があるんだろう。菜の花エリアとは違うんだよね??
    青荷温泉は最高だよ、ぜひぜひ。酸ヶ湯もね。
    今年はぜひ遊びに来てねー。

  • かず より:

    大畑は、単に北へ行きたくなったから行った感じですかね。ごっつい寒い時期だったから、旅人も全然いなくてね。
    やっぱり寒い所は寒い時期がいいな~なんて思ったモノ。
    国内にいる方が、情報が入ってしまうので、どうもフットワークが重くなってしまう感じがあるのは、ボクだけなんだろうか。
    お2人のフットワークの軽さを見習わないとね(え?海外でも充分、重いか、ボクは)。

  • スミサト より:

    ■かずさん
    あぁ、イイね、単に北へって。
    寒いところは寒い時期って、それも分かるな。
    まぁ、暑い時に涼しいっていうのもイイんだけどね。
    フットワークは最近は重めかなー、まぁ、かずさんほどではないけれど。(笑)
    もっと何でもヒョイヒョイ出来たらいいんだけれどね。
    まずはチビオトに会いに来て。

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