たくさんの灯明をともして祈念する行事「万灯会(まんとうえ)」。
鎌倉では、2011年に発生した東日本大震災で犠牲になった方の冥福を祈るため、翌年の3月10日から毎年、長谷寺で行われていた(2015年のみ高徳院で開催)。
しかし、今年は材木座の光明寺に場所を移して法要が営まれることになった。
薄暗くなりかけた18時過ぎに到着。
山門をくぐると、本堂に向かってまっすぐに並べられた万灯ローソクが目に飛び込んできた。
あまりの美しさに思わず息を呑む。
チビオトも「キレイ……」とつぶやく。
毎年万灯会のお手伝いをしているカフェ「麻心」の店主、しんじさんに会ったので話を聞いてみると、長谷より参加者は少ないけれど、ローカルな感じがすごくいい、とのこと。
そう言われて周囲を見渡せば、犬の散歩がてら訪れた人がいて、あちこち駆け回る子の後ろを追いかけるお母さんがいて、なんとものどかな雰囲気だった。
おでんやトムヤムクン、肉まんの屋台から漂ういい香りを嗅ぎながら本堂へ。
日蓮宗・臨済宗・真言宗・浄土宗の僧侶による法要のまっただ中だったが、チビオトが少々退屈し始めたので、お賽銭を入れて手を合わせて、早めに退散する。
震災から明日で5年。
あのとき、ようやくつかまり立ちを始めたチビオトは何も覚えていない。
それでも毎年、何らかの形で祈り、どんなことが起きたのか伝えるのだけは欠かさず続けていこうと思っている。